夫婦の会話が
ないとき

関口美奈子

こんにちは。関口美奈子です。
「気づけば、夫婦の会話が『ご飯できたよ』『お風呂入った?』くらいになっている」。長年連れ添った夫婦から、よくいただく悩みです。
でも、会話がないからといって、愛が冷めたとはかぎりません。多くの場合、原因は別のところにあります。会話が「報告・連絡」だけになり、心を通わせる「雑談」が消えてしまった。今日は、夫婦の会話を取り戻す方法をお話しします。

消えたのは「雑談」

まず、夫婦の会話を二つに分けて考えてみましょう。ひとつは、用件を伝える「報告・連絡」。もうひとつは、とりとめのない「雑談」です。

「会話がない」と感じる夫婦の多くは、報告・連絡は普通にできています。消えているのは、雑談のほう。「今日こんなことがあってね」「あれ面白かったね」という、用がなくても交わす会話です。じつは、夫婦の心を通わせていたのは、この雑談だったんですね。雑談が消えると、一緒に暮らしていても、心の距離が開いていきます。

なぜ、雑談は消えてしまうのか

では、なぜ雑談が消えるのでしょう。理由は、いくつかあります。

長く一緒にいる「慣れ」で、わざわざ話さなくてもいいと感じる。仕事や育児に追われて、心の余裕がない。スマホやテレビに気を取られて、相手を見ていない。そして、過去に話しかけて素っ気なくされた経験から、話すのをあきらめてしまう——。
つまり、雑談が消えるのは、悪意があるからではなく、忙しさと慣れの中で、少しずつ省略されていった結果なんです。だからこそ、意識すれば、また取り戻せます。

会話を取り戻す、4つの工夫

では、どうすれば雑談が戻るのか。四つの工夫をお伝えします。

1.相手の話を、否定せずに聞く。「でも」「そんなことより」を手放す。安心して話せる空気が、会話を呼びます。
2.「ありがとう」「うれしい」を言葉にする。ポジティブなひと言が、相手の口を開きます。
3.一緒に新しい体験をする。同じ映画を観る、出かける。共有した出来事が、自然な雑談の種になります。
4.食事中は、スマホを置く。たった15分でも、顔を見て過ごす時間をつくる。それだけで会話は生まれます。

「話して」より、まず「聞く」

ここで、いちばん大切なコツを。会話を取り戻したいとき、つい「もっと話してよ」と相手に求めがちです。でも、効くのは逆。まず、自分が聞き上手になることです。

とくに、長く話さなくなった相手ほど、いきなり話すのはハードルが高いもの。だから、こちらが小さな雑談を振り、相手の話を笑顔で受け止める。否定せず、興味を持って聞く。「この人になら話してもいいな」と思える空気を、先につくってあげるんですね。先に与え、相手を受け止められる「持てる人」の姿勢が、閉じていた会話の扉を、そっと開いていきます。

小さな雑談から、もう一度

最後に。
夫婦の会話を取り戻すのに、特別な話題は要りません。今日、「今日どうだった?」と、ひとつ聞いてみる。それだけで十分です。

長く会話がなかった相手だと、最初はぎこちないかもしれません。それでも、小さな雑談を、根気よく重ねていく。一回うまくいかなくても、気にせず、また次へ。その積み重ねが、少しずつ二人の空気をやわらげ、心の距離を縮めていきます。
会話は、夫婦の絆の血液のようなもの。途切れても、また流し始めれば、関係はちゃんとあたたまっていきます。まずは今日、ひとつの雑談から始めてみてくださいね。

関連ページ

← コラム一覧 夫婦円満の秘訣 聞き上手になる方法