こんにちは。関口美奈子です。
「ありがとう、助かった」——たったそれだけの言葉で、人はもっと頑張りたくなる。逆に、お金や見返りを与えると、かえってやる気をなくすこともある。この、「言葉が、人を伸ばす」働きを、「エンハンシング効果」と呼びます。今日は、その仕組みと、恋愛や仕事で人を気持ちよく動かすコツを、お話しします。
エンハンシング効果とは
エンハンシング効果とは、言葉による評価や承認が、その人のやる気を、さらに高める効果です。エンハンス(enhance)は「高める、強める」という意味。
ここで言うやる気は、内発的動機づけ——つまり、誰かに言われてではなく、「自分がやりたいから」という、内側から湧く気持ちのことです。「すごいね」「あなたのおかげ」と心から認められると、この内なる火が、さらに大きくなる。お金では買えない、いちばん強い燃料なのです。
正反対の現象——アンダーマイニング効果
面白いのは、これとちょうど逆の現象もあること。それがアンダーマイニング効果です。
もともと「好きでやっていたこと」に、お金などの報酬を与えると、かえってやる気が下がってしまう。「楽しいからやる」が、「お金のためにやる」に、すり替わってしまうからです。——つまり、報酬の種類で、効果は正反対になる。物やお金はやる気を削り、心からの言葉はやる気を育てる。この違いを知っておくと、人との関わり方が、ぐっと変わります。
恋愛・仕事で、人を伸ばす褒め方
では、どう褒めればいいか。コツは、結果だけでなく、過程や姿勢を、具体的に褒めることです。
「えらいね」のような漠然とした言葉より、「あの場面で、さりげなく気を配ってくれて、本当に助かった」。——こう具体的に伝えると、相手は『自分の、何が良かったのか』をはっきり理解でき、その行動を、また自分から繰り返したくなる。恋愛でも、パートナーの小さな優しさを「気づいてるよ」と言葉にするだけで、関係は驚くほど温かくなります。これは、期待が人を伸ばすピグマリオン効果とも、響き合う考え方です。詳しい褒め方は人を伸ばす褒め方でもお話ししています。
気をつけたい、ひとつのこと
ただし、心のこもらない、口先だけの賞賛は、すぐに見抜かれます。「とりあえず褒めておけばいい」という下心は、相手に伝わり、かえって白けさせる。エンハンシング効果は、本当にそう思っているからこそ、効くのです。
だから、テクニックとして覚えるより、相手の良いところを、ちゃんと見ようとする姿勢が先。見ていれば、褒める言葉は、自然と具体的になります。
おわりに:言葉は、いちばん安くて、いちばん効く贈り物
お金も物もいらない。ただ、相手をよく見て、感じたことを言葉にして渡す。それだけで、人は伸び、関係は深まります。承認は、もっとも安価で、もっとも効く贈り物なのです。
身近な人の良いところを、今日ひとつ、言葉にしてみてください。返ってくるものは、きっと想像以上です。こうしたコミュニケーションや人を動かす心理の話は、企業研修や講演でも、わかりやすくお伝えしています。ご関心があれば、お気軽にご相談ください。
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