こんにちは。関口美奈子です。
「好きでやっていた趣味が、お金をもらえるようになった途端、なんだか、つまらなくなった」。あるいは、「ご褒美で釣ったら、最初はやる気が出たのに、すぐに続かなくなった」。——こうした不思議な現象の裏には、「アンダーマイニング効果」という心理が、働いています。
「ご褒美」が、かえって、やる気を下げてしまう。今日は、この意外な心理と、やる気を保つコツを、お話しします。人を励ますときにも、役立つ知識です。
アンダーマイニング効果とは
アンダーマイニング効果とは、好きで、自発的にやっていたこと(内側からのやる気)に、お金やご褒美などの「報酬」を与えると、かえって、やる気が下がってしまう心理効果です。
「アンダーマイン」とは、「下から掘り崩す」という意味。せっかくの、内側から湧くやる気を、報酬が、こっそり掘り崩してしまう、というわけです。たとえば、絵を描くのが好きだった人が、「描いたら、お金をあげる」と言われ続けると、いつしか「お金のために描く」ようになり、報酬がないと、描く気が起きなくなる。——これが、アンダーマイニング効果です。
なぜ「ご褒美」が、やる気を下げるのか
では、なぜ、良かれと思った報酬が、やる気を下げるのでしょう。理由は、行動の「理由」が、すり替わってしまうからです。
もともとは、「楽しいから、やる」。これは、内側から湧く、強いやる気です。ところが、報酬が与えられると、理由が、「報酬のために、やる」へと、変わってしまう。すると、行動そのものの楽しさへの関心が、薄れていく。そして、報酬がもらえないと、「やる意味がない」と、やる気が出なくなる。外からのご褒美が、内側のやる気を、押しのけてしまうんですね。
仕事や、人を励ますときの注意
このアンダーマイニング効果は、仕事や、人を励ます場面で、知っておくと、とても役立ちます。
たとえば、職場で、やる気のある部下を伸ばしたいとき。ご褒美や、報酬で釣るより、「君の仕事、助かっているよ」「成長したね」という、承認や、感謝の言葉のほうが、長く、やる気を支えます。お金や物のご褒美は、一時的には効きますが、それだけに頼ると、内側のやる気を、すり減らしてしまう。人を動かすのは、報酬以上に、「認められている」という実感なんです。
自分のやる気を、保つコツ
そして、これは、自分自身のやる気を保つことにも、応用できます。コツは、「報酬」ではなく、「楽しさ」や「成長」に、目を向けることです。
「これをやったら、ご褒美」も、たまにはいいのですが、それだけを動機にすると、続きません。それより、「この作業の、ここが面白い」「前より、できるようになった」という、内側から湧く満足を、大切にする。モチベーションを、長く保てる人は、報酬ではなく、楽しさや成長を、燃料にしています。自分への「ご褒美」に頼りすぎないことも、続けるコツなんです。
まとめ:内側のやる気を、大切に
アンダーマイニング効果は、好きでやっていたことに報酬を与えると、かえってやる気が下がる心理。行動の理由が、「楽しいから」から「報酬のため」に、すり替わるためでした。
だからこそ、人を励ますときも、自分のやる気を保つときも、ご褒美に頼りすぎないこと。大切なのは、楽しさ、成長の実感、そして感謝や承認といった、内側からのやる気です。報酬は、上手に使えば良いものですが、内側の火を、消さないように。心理の仕組みを知ることは、人も自分も、長く前向きに動かす力になります。
こうした心理学を、仕事や人材育成に活かすお話は、企業研修・講演でもお伝えしています。ご関心のある方は、よければお気軽にご相談ください。
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