恋愛・結婚

自己肯定感が低いと
恋愛がうまくいかない理由

関口美奈子

こんにちは。恋愛心理研究家の関口美奈子です。
「愛されたい」と強く願っているのに、なぜか恋愛がうまくいかない。そんな方は、少なくありません。
じつは、ここに切ない逆説があります。「愛されたい」と渇くように願う人ほど、愛されにくいのです。理由は、自分で自分を満たせていないから。相手がどれだけ愛を注いでも、底の抜けたコップのように、漏れ続けてしまうんですね。今日は、その「愛される土台」のお話です。

この記事の結論

自己肯定感が低いと恋愛がうまくいかないのは、自分の中の不足を、相手の愛で埋めようとしてしまうからです。その結果、次の三つのどれかが起きやすくなります。

  • 尽くしすぎる:嫌われないために、愛を前払いし続けて疲れる
  • 確かめすぎる:連絡や言葉で愛情の証拠を求め、相手を疲れさせる
  • 逃げてしまう:好かれると怖くなり、傷つく前に自分から離れる

そして見落とされがちなのが相手選びへの影響です。大切にしてくれる人を退屈に感じ、不安にさせる人に惹かれてしまう。土台は日々の習慣で育て直せます。

自己肯定感とは、「自分はこれでいい」と思える感覚

自己肯定感とは、特別な実績や条件がなくても、「ありのままの自分でいい」と思える感覚のことです。

これは、自信とは少し違います。「人より優れている」という比較の自信ではなく、たとえ欠点があっても、失敗しても、「それでも自分には価値がある」と思える、もっと静かで土台のような感覚。この土台がぐらついていると、恋愛は一気に難しくなります。

似た言葉に「自尊心」や「自信」がありますが、自信は「できること」に支えられ、できなくなると揺らぎます。自己肯定感は、できない日の自分にも居場所を与えられるかどうか。恋愛で試されるのは、まさにこちらです。恋愛は、どれだけ努力しても相手の気持ちだけは自分で決められない場所だからです。

セルフチェック:自己肯定感が低いときに出やすい恋愛の行動10

自己肯定感の低さは、恋愛の場面で驚くほど似た形で表に出ます。当てはまるものを数えてみてください。

  • 連絡の返信が遅いと、「嫌われたのかも」と考えてしまう
  • 断るのが苦手で、予定も好みも相手に合わせすぎる
  • 褒められると、つい否定したり話をそらしたりする
  • 本音を言うと嫌われる気がして、言いたいことを飲み込む
  • 幸せなときほど「いつか終わる」と不安になる
  • 好意をはっきり向けられると、なぜか気持ちが引いてしまう
  • 大切にしてくれる人ほど物足りなく、振り回す人に惹かれる
  • 相手の好みに合わせるうちに、自分の好みがわからなくなる
  • 友人の恋人や、相手の元恋人と自分を比べてしまう
  • お断りや別れを、自分という人間の全否定だと受け取る

大切なのは、いくつ当てはまったかより、どれが毎回くり返されているかです。同じつまずきが相手を変えても起きるなら、それは相手の問題ではなく、あなたの土台が出しているサインかもしれません。責める材料ではなく、手当ての場所を教えてくれる地図として使ってください。

自己肯定感が低いと、恋愛で何が起きるか

自分で自分を認められないと、その不足を、無意識に相手に埋めてもらおうとします。すると、こんなことが起きます。

「嫌われたくない」から、相手に尽くしすぎる。「愛されている証拠がほしい」から、連絡を求めすぎ、束縛してしまう。少し冷たくされただけで「やっぱり私なんか」と不安に飲まれる。あるいは、好かれると怖くなって、自分から関係を壊してしまう。以前お話しした「蛙化」も、この一種です。
どれも、相手を困らせようとしているのではありません。自分の中の不安を、相手で埋めようと必死になっているだけ。けれど、その重さに、相手はだんだん疲れてしまうんですね。

パターン別の対処:自己肯定感の低さは三つの顔で出る

自己肯定感が低いといっても、恋愛での出方は人によって違います。現場で多いのは、次の三つです。自分がどれに近いかで、効く手当ても変わります。

①尽くしすぎる:愛を前払いしてしまう

「これだけしてあげれば、離れていかないはず」。そう思って、相手の予定に合わせ、欲しがる前に差し出し、頼まれていないことまで引き受ける。けれど、不安から差し出す優しさは、愛の前払いです。前払いされた側は、なぜか感謝より負担を感じます。そして前払いした側は、見返りが返ってこないたびに疲れていきます。

対処:一週間に一度、小さく断る練習をしてください。「その日は難しいので、別の日はどうですか」。断っても関係が壊れないという経験が、何よりの薬になります。与えることは素敵なことです。ただし、それは満たされた人が余りを分けるときに、いちばん美しく届くものです。

②確かめすぎる:不安の取り立てをしてしまう

返信の速さ、「好き」と言ってくれた回数、ほかの異性との距離。愛されている証拠を集めずにいられず、足りないと感じると問い詰めてしまう。束縛や嫉妬の根っこにあるのは、相手への不信というより、「自分が愛されるはずがない」という自分への不信です。証拠をいくら集めても、この不信は埋まりません。

対処:不安になったら、「事実」と「解釈」を紙に分けて書くこと。事実は「三時間返信がない」。解釈は「嫌われた」。多くの場合、苦しめているのは事実ではなく解釈のほうです。問い詰める前に一晩置く、というルールも効きます(嫉妬・やきもちが止まらないときの対処法)。

③逃げてしまう:傷つく前に、先回りして離れる

好かれた途端に相手の欠点が気になり始める。関係が深まりそうになると、連絡を減らしてしまう。「どうせいつか嫌われるなら、今のうちに」という先回りの撤退です。自分を守るための反応なので、本人はなかなか気づけません(蛙化現象、回避型愛着)。

対処:逃げたくなった瞬間に、すぐ結論を出さないこと。「今は怖くなっている」と自分で実況して、答えを三日延ばす。怖さの波は、時間を置くと引いていくことが多いものです。引いたあとに残った気持ちが、あなたの本音です。

相手選びへの影響:「安心」を退屈と取り違える

自己肯定感の低さがいちばん静かに、そして深く影響するのが、相手選びです。

自分を低く見ている人にとって、自分を大切にしてくれる相手は、どこか落ち着きません。「こんな私を好きになるなんて、何かおかしい」と感じてしまうからです。反対に、連絡が気まぐれで、こちらを不安にさせる相手には強く惹かれる。その不安の揺れを、ときめきと取り違えてしまうんですね。

こうして、大切にしてくれる人を「物足りない」と見送り、振り回す人を「運命」と追いかける。これをくり返すうちに、「やっぱり私は大事にされない」という思い込みが、さらに強くなっていきます。

相手選びの物差しを、ときめきから、次のような問いに変えてみてください。

  • 会ったあと、疲れているか、ほっとしているか
  • その人の前で、自分の話をちゃんとできたか
  • 予定の変更や約束が、いつも一方的ではないか
  • 小さな本音を言ったとき、受け止めてもらえたか

婚活でも同じことが起きます。条件で比べられる場に身を置くと、お見送りのたびに自分の価値が採点されたように感じやすい。けれど、お見送りは相性とタイミングの結果であって、人格の判定ではありません(お見合いで断られるのがつらいとき、婚活の心理学)。

男性の自己肯定感は「強がり」に化ける

自己肯定感の話は女性向けに語られがちですが、男性にもまったく同じことが起きます。ただ、出方が違います。

男性は、仕事の成果や収入、肩書きで自分を測るよう求められてきた人が多い。そのぶん、自己肯定感の低さが弱さとしてではなく、強がりとして表に出ることがあります。弱みを見せられず会話が面接のようになる、断られるのが怖くてデートに誘えない、相手の気持ちを試すような態度をとってしまう。どれも根は同じです。

男性の場合、外見の小さな手入れが自己肯定感の入口になることもあります。身だしなみが整うと、人と目を合わせるのが少し楽になる。その小さな変化が、会話の余裕につながっていきます(デートに誘えないあなたへ、眉を整えると自己肯定感が上がる)。

人と比べて落ち込むとき:SNSは「幸福のハイライト」しか流さない

自己肯定感の土台を、いちばん静かに削っていくもの。それが人と比べる癖です。友人の結婚報告、幸せそうなデートの写真、同期の活躍。寝る前になんとなくSNSを開いて、胸の奥がチクリと痛む。そんな夜、ありませんか。

まず、比べてしまう自分を責めないでください。人は、自分の立ち位置を他人と比べることで確かめようとする生き物です。心理学者フェスティンガーが「社会的比較」と名づけたように、比べること自体は誰にでもある心の働きです。問題は、その比較が、自分を責める材料に変わってしまうことなんですね。

そして、SNSはその比較を何倍にもつらくします。そこに並んでいるのは、その人の暮らしそのものではなく、いちばん良い瞬間だけを選んで加工した「幸福のハイライト」です。けんかした夜も、ひとりで泣いた休日も写っていません。あなたはいつのまにか、相手の「編集後の最高の一部」と、自分の「編集なしの全部」を比べているんです。これでは、勝てるはずがありませんよね。

ハイライトばかりを毎日浴びていると、幸福の採点基準だけが吊り上がっていきます。「もっとロマンチックな相手がいるはず」「あの二人みたいな関係でなければ」。すると、目の前にいる等身大の相手や、自分の縁そのものが、急に色あせて見えてくる。前の章でお話しした「安心を退屈と取り違える」動きを、SNSが後ろから押しているわけです。しかもSNSは、長く見続けてもらうことで成り立つ仕組みです。比べて一喜一憂してしまうのは、あなたの心が弱いからではなく、そう反応するよう作られた場所にいるから、という面が大きいんです。

比較の会場から、半歩だけ出てみましょう。

・比べる向きを、横から縦に変える。比べる相手は他人ではなく、半年前の自分。「あのときより、これができるようになった」と言えたら、それで十分です。
・見る時間を区切り、つらくなるアカウントはそっとミュートする。完全に断たなくても、浴びる量を減らすだけで心はずいぶん軽くなります。
・「ないもの」ではなく「あるもの」を数える。写真には写らない、あなたの縁にしかない温かさがあります。

「また比べているな」と気づいたら、そっと自分に視線を戻す。その小さなくり返しが、削られた土台を少しずつ埋め戻してくれます。

「愛されたい」の前に、コップを満たす

ここが、いちばん大事なところです。
愛は、コップに注ぐ水のようなもの。でも、コップの底(=自己肯定感)が抜けていると、どれだけ注がれても満たされません。

逆に、自分で自分のコップをある程度満たせている人は、相手の愛を素直に受け取れます。そして余った分を、今度は相手へ分けてあげられる。「持てる人」とは、そういう人のことです。先に与えられる心の余裕は、自分が満たされているからこそ生まれるんです。恋愛がうまくいく人は、愛を“もらう”ことから始めるのではなく、自分を満たして“与える”ことから始めている。順番が逆なんですね。

愛される土台は、こうして育てる

では、自己肯定感はどう育てればいいのでしょう。生まれつきの性格だと思われがちですが、日々の習慣で、少しずつ育てられます。三つ、お伝えします。

ひとつめ。他人と比べるのをやめる。SNSで人と比べて落ち込むのは、土台を自分で削る行為です。比べる相手は、昨日の自分だけで十分。
ふたつめ。小さな「できた」を毎日認める。早起きできた、ちゃんとご飯を作った。当たり前のことを「よくやった」と自分に言ってあげる。その積み重ねが土台になります。
みっつめ。自分を、友人のようにいたわる。失敗したとき、親友にかける言葉を、自分にもかけてあげてください。「大丈夫、よくがんばってるよ」と。

恋愛の場面でできる、三つの練習

日々の習慣に加えて、恋愛の場面そのものを練習の場にすることもできます。

褒め言葉は「ありがとう」で受け取る。否定するのは謙遜ではなく、相手の好意を突き返すことです。受け取る練習は、愛を受け取る練習そのものです(褒められた時の返し方)。
小さな本音を一つだけ言う。「このお店、実はちょっと苦手で」くらいの小ささで十分です。本音を言っても関係が続いた経験が、土台を太くします。
会ったあとの自分の気持ちを記録する。楽しかったか、疲れたか、ほっとしたか。相手の反応ではなく、自分の感覚に目を向ける習慣が、相手選びの物差しを取り戻してくれます。

自信は、根拠を集めて持つものではありません。自分との小さな約束を守れた回数が、静かに積み上がっていくものです(本当の自信のつけ方)。

一人で抱えきれないと感じたら

気分の落ち込みや不安が長く続き、眠れない、食べられない、仕事が手につかないなど、日常生活に影響が出ているときは、恋愛の工夫より先に、医療機関や公的な相談窓口など専門家に相談してください。心の手当てを誰かに頼るのは、弱さではなく、自分を大切に扱う立派な選択です。

恋愛の土台は、相手ではなく「自分との関係」

最後に。
恋愛がうまくいくかどうかは、どんな相手と出会うかよりも、あなたが自分自身と、どんな関係を結んでいるかで決まる部分が、とても大きいんです。

自分を満たし、自分を大切にできる人は、不安から相手にしがみつく必要がありません。だから、ゆったりと構えて、相手の愛を受け取り、また与えることができる。その余裕こそが、いちばんの魅力になります。
「愛されたい」と願う前に、まず自分が自分を愛してあげること。遠回りに見えて、それが愛される人になる、いちばんの近道なんですよね。あなたは、ありのままで、ちゃんと愛される価値があります。

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よくある質問

なぜ自己肯定感が低いと恋愛がうまくいかないのですか?
自分で自分を満たせていないと、その不足を相手に埋めてもらおうと過剰に求めてしまうからです。どれだけ愛されても安心できず、依存・束縛・嫉妬につながり、かえって相手が離れてしまいます。
自己肯定感を高めるにはどうすればいいですか?
他人と比べるのをやめる、小さな「できた」を毎日認める、自分を友人のようにいたわる、の3つが基本です。自己肯定感は才能ではなく、日々の習慣で少しずつ育てられます。
自分を好きになれなくても恋愛はできますか?
できますが、長続きさせるには自分との関係を整えることが近道です。恋愛の土台は相手ではなく、自分自身との関係。自分を満たせる人ほど、相手にも安心して愛を与えられます。
自己肯定感が低い人の恋愛にはどんな特徴がありますか?
返信が遅いと嫌われたと考える、断れずに合わせすぎる、褒め言葉を否定する、本音を飲み込む、好意を向けられると引いてしまう、大切にしてくれる人を物足りなく感じるといった行動が出やすくなります。大きく分けると、尽くしすぎる、確かめすぎる、逃げてしまうの三つのパターンがあります。
自己肯定感が低いと恋愛が怖いのはなぜですか?
「いつか嫌われる」という思い込みがあるため、関係が深まるほど失う怖さが大きくなるからです。傷つく前に自分から離れたくなるのは、自分を守るための反応です。怖くなったらすぐ結論を出さず、数日置いてから残った気持ちを確かめると、本音が見えやすくなります。
自己肯定感が低いと、どんな相手を選びやすいですか?
自分を大切にしてくれる人を物足りなく感じ、連絡が気まぐれで不安にさせる相手に惹かれやすくなります。不安の揺れをときめきと取り違えてしまうためです。会ったあとにほっとしているか、自分の話ができたかといった物差しで相手を見ると、選び方が変わります。
恋愛の中で自己肯定感を高めるにはどうすればいいですか?
褒め言葉を否定せず「ありがとう」で受け取る、小さな本音を一つだけ言ってみる、会ったあとの自分の気持ちを記録する、の三つが効果的です。本音を言っても関係が続いたという経験が、少しずつ愛される土台を太くします。

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