こんにちは。関口美奈子です。結婚相談所「エースブライダル」を運営しています。
婚活の現場では、必ずと言っていいほどこの言葉を聞きます。「できれば、自分より年収の高い人と」。そして世間では、これを「女性は欲張りだ」と片づけがちです。
でも、長く現場にいる私の結論は、はっきりしています。女性が高年収の男性を求めるのは、決して「欲張り」だからではありません。むしろそれは、合理的な本能と、時代遅れになった社会の仕組みが、ぶつかり合って生まれている現象なのです。今日は、私が「上昇婚のわな」と呼ぶ構造について、お話しさせてください。
女性が年収を見るのは「本能」だった
まず、誤解を解いておきましょう。女性が相手の経済力を気にするのは、性格の問題ではありません。進化の歴史に根ざした、合理的な傾向です。
進化心理学では、こう考えます。かつて人類が厳しい環境を生き延びていた時代、女性は妊娠・出産・育児という大きな負担を担っていました。その間、自分と子を守り、食べさせてくれる相手——つまり資源を持つ男性を選ぶことは、子孫を残すうえできわめて理にかなった戦略でした。年収の高い男性に魅力を感じる感覚は、その遠い記憶の名残なのです。だから女性を責めるのは、お門違い。それは、何万年もかけて磨かれてきた、生存のための知恵だったのですから。
「上昇婚」という根強い志向
この本能は、現代では「上昇婚」という形で残っています。自分と同じか、それ以上の経済力・社会的地位を持つ相手と結ばれたい、という志向のことです。専門的には「ハイパガミー」とも呼ばれます。
面白いのは、社会がこれだけ変わっても、この感覚がなかなか薄れないことです。女性自身がしっかり稼いでいても、「結婚相手はやっぱり、自分より上であってほしい」と感じる方は少なくありません。これは個人のわがままというより、「男性が家計を支えるもの」という性別役割観が、私たちの中に深く刷り込まれているから。本能と、社会の刷り込み。この二つが重なって、上昇婚志向は驚くほど強く生き残っているのです。結婚と年収の関係を考えるとき、ここは外せない出発点です。
時代が変わり、前提が崩れた
ところが、です。この上昇婚という前提が成り立っていたのは、男性の方が学歴も収入も高いのが当たり前だった時代のことでした。
今は違います。女性の高学歴化が進み、社会進出も大きく前進しました。大学に進む女性は増え、専門職や管理職で活躍する女性も珍しくなくなりました。これ自体は、間違いなく素晴らしい前進です。けれども、ここに思わぬ落とし穴が生まれます。女性自身の経済力が上がれば上がるほど、「自分より上」の条件を満たす男性の数は、相対的に減っていくのです。土台が変わったのに、結婚の物差しだけが昔のまま。ここに、ねじれが生じてしまいました。
「上昇婚のわな」とは何か
このねじれを、私は「上昇婚のわな」と呼んでいます。仕組みは、こうです。
女性が自分以上の経済力を望む。すると、高収入の女性ほど、条件に合う男性が見つからなくなる。一方で、平均的な収入の男性は、「自分は選ばれる側に入れない」と感じて、結婚に踏み出せなくなる。女性は「上が枯渇」し、男性は「下にはじかれる」。結果として、本来なら十分に幸せになれたはずの男女が、どちらも結婚から遠ざかってしまうのです。
大切なのは、これが誰か個人の好みの問題ではないということ。一人ひとりの選択は、ごく自然で合理的です。それでも、全員がその物差しで動いた瞬間、社会全体では「誰も得をしない」結果が生まれてしまう。これはまさに、個人の好みではなく、構造が仕掛けたわななのです。格差婚という選択肢がなかなか広がらない背景にも、この罠が横たわっています。
本能は、もう「制度疲労」している
ここで、はっきりさせておきたいことがあります。かつて生存に有利だった「資源を持つ男性を選ぶ」という本能は、現代の社会では、もう制度疲労を起こしているということです。
女性が自分で稼げる時代に、「養ってくれる男性」を必須条件にし続ければ、選択肢はどんどん狭まります。男性の側も、「一人で家族を支えなければ」という重圧に縛られ、苦しくなる。かつては命を守った仕組みが、今では男女どちらの首も絞めている。本能が悪いのではありません。本能の前提となっていた社会が、すっかり姿を変えてしまっただけ。だからこそ私たちは、本能をなぞるのではなく、今の時代に合わせて物差しを更新していく必要があるのです。
「支えてもらう」から「二人で回す」へ
では、どうすればこのわなから抜け出せるのでしょう。答えは、年収という条件を捨てることではありません。年収の「見方」を変えることです。
「自分を支えてくれるか」ではなく、「二人で生活を回していけるか」。物差しを、この一点に切り替えてみてください。男性が一人で支えるという前提を手放し、収入も家事も二人で分担するチームとしてパートナーを見る。そうすると、不思議なくらい、釣り合う相手の幅が広がります。一人で年収八百万円の人を探すより、二人で八百万円の暮らしをつくる方が、ずっと現実的で、ずっと自由です。これは女性だけの話ではありません。男性にとっても、「すべてを背負う」呪縛から解かれる、大きな福音なのです。これからの時代に選ばれる女性は、相手のスペックを測る人ではなく、共に生きるチームを描ける人なのだと、私は思っています。
まとめ:個人ではなく、価値観を更新する
女性が年収の高い男性を求めるのは、欲張りだからではありません。生存のための本能と、男性が支えるという古い性別役割観が組み合わさった、ごく自然な傾向でした。けれど女性の高学歴化と社会進出が進んだ今、その上昇婚志向は「釣り合う相手」を枯渇させ、男女双方を結婚から弾く「上昇婚のわな」になってしまっています。
これは、女性個人の問題でも、男性個人の問題でもありません。価値観と社会構造のミスマッチが生んだ、構造の問題です。だからこそ、責め合うのではなく、私たち一人ひとりが「支えてもらう結婚」から「二人で回す結婚」へと、静かに物差しを更新していくこと。それが、わなを解く唯一の鍵だと私は考えています。
とはいえ、長年しみついた物差しを、自分一人で組み替えるのは簡単ではありません。私たちエースブライダルでは、こうした「これからの時代に合うパートナー選び」を、一人ひとりに寄り添って一緒に考えています。本気で結婚を考えている方は、よければ一度、無料相談でお話を聞かせてくださいね。
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