こんにちは。恋愛心理研究家の関口美奈子です。結婚相談所「エースブライダル」を運営しています。
先に答えをお伝えします。結婚相手の年収が「いくら必要か」に、全国共通の正解はありません。目安になるのは、二人の手取りを合わせた収入で、毎月の暮らしの支出をまかない、そのうえで少しずつ貯蓄ができるかどうかです。相手一人の年収で決めるのではなく、二人の家計で考える。これが、いまの時代の現実的な答えです。
お金は暮らしの土台ですから、気になって当然ですよね。今日は、公的な調査の数字、家計の計算の仕方、そして年収の額より大切なお金の見方まで、正直にお話しします。
結論:必要な年収は「二人の手取り − 暮らしの支出」で決まる
「年収○○万円以上の人と結婚したい」。婚活で、よく耳にする言葉です。でも、その金額は、どこから出てきたものでしょうか。親の世代の感覚、友人の結婚相手、ネットで見た平均。多くの場合、自分たちの暮らしから逆算した数字ではありません。
結婚生活でお金に困るかどうかは、相手の年収の額そのものではなく、二人の手取りの合計と、二人の暮らしにかかる支出の差で決まります。同じ年収でも、住む地域や家賃、車の有無、働き方によって、必要な額はまったく変わるのです。
ですから、まずは「相手にいくら稼いでほしいか」ではなく、「自分たちは、どんな暮らしを、いくらでしたいか」から考えてみてください。その答えが出れば、必要な年収は、自然に見えてきます。
データで見る:結婚相手に求める「経済力」
国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の「第16回出生動向基本調査」(2021年)では、結婚相手を選ぶときに「経済力」を重視または考慮すると答えた未婚女性は91.6%でした。お金への関心は、ごく自然なものです。
一方で、同じ調査で注目したいのが男性側の変化です。結婚相手の女性に「経済力」を重視・考慮すると答えた未婚男性は48.2%と、前回の2015年調査の41.9%から増えています。男性も、相手の経済力を気にかけるようになってきた。つまり、「どちらかが養う」から「二人で支え合う」へと、結婚とお金の考え方そのものが動いているのです。
実際、総務省の「労働力調査」でも、共働き世帯は専業主婦世帯の2倍を超えています。相手一人の年収だけで暮らしを支える前提は、もはや多数派ではありません。この流れを知っておくと、年収の条件を、もう少し柔らかく考えられるはずです。
二人の家計を計算してみる:かんたんな手順
では、実際に「自分たちに必要な年収」を見積もってみましょう。難しい計算はいりません。次の三つの手順で十分です。
① 暮らしたい生活の、月の支出を書き出す……家賃、食費、光熱費、通信費、保険、交通費、趣味や交際費。いまの一人暮らしの支出を足し合わせ、二人で暮らすとどう変わるかを考えます。家賃や光熱費は、二人で一つになるぶん、一人ずつの合計より少なくなることが多いものです。
② 毎月の貯蓄額を決める……将来の住まい、もしもの備え、老後。月にいくら残したいかを決めます。
③ ①+②を、二人の手取りで割り振る……二人の手取りの合計が①+②を上回っていれば、暮らしは成り立ちます。
たとえば、仮に二人の暮らしの支出が月25万円、貯蓄を月5万円にしたいなら、必要な手取りは二人で月30万円です。あなたの手取りが月18万円なら、相手に必要なのは手取り月12万円以上。ここで見えてくるのは、「相手が年収○○万円以上でなければ」という条件が、じつは自分たちの暮らしとは関係のない数字だったということです(金額はあくまで考え方を示すための例です)。
もちろん、どちらかが働けなくなる時期や、病気、転職もありえます。だからこそ、片方の収入だけでも最低限の生活が回るか、という視点も一緒に持っておくと安心です。結婚にかかる最初の費用については、結婚にかかるお金と備え方も参考にしてください。
年収の「額」より、見ておきたい4つのこと
長く相談の現場にいて、はっきり言えることがあります。結婚生活の安定は、年収の額より、お金との向き合い方で決まります。高年収でも、浪費やギャンブルが止まらなければ、お金は貯まりません。年収が平均的でも、堅実にやりくりできる人となら、暮らしは安定します。交際中に、次の四つを見てみてください。
① お金の使い方に、計画性があるか……衝動買いが多くないか。見栄のための出費が多くないか。
② お金の話を、隠さずにできるか……貯金や借入の有無を、聞かれたら正直に話せるか。
③ 金銭感覚の「ずれ」を、話し合いで埋められるか……外食の頻度、プレゼントの金額。違いがあっても、すり合わせようとしてくれるか。金銭感覚が合う相手の見極め方も、ぜひ。
④ 家事や働き方を、二人で分け合う気持ちがあるか……共働きなら、家事の分担も家計の一部です。共働きの家事分担の考え方が合うかどうかは、年収以上に暮らしの満足度を左右します。
年収は、転職や景気で変わることもあります。でも、お金に誠実に向き合う姿勢は、何十年も変わりにくい。だからこそ、見るべきは、年収の数字より、お金と向き合う姿勢なのです。
お金の話を切り出すときの言い回し
交際中にお金の話をするのは、勇気がいりますよね。いきなり「年収はいくらですか」「貯金はありますか」と聞くと、相手は値踏みされたように感じてしまいます。そこで、自分の考えを先に出してから、相手に聞く順番にしてみてください。
「私は、結婚したら共働きで、家計は二人で一緒に管理できたらいいなと思っているんです。○○さんは、お金の管理ってどんなふうに考えていますか?」
「将来は、住まいのために毎月少しずつ貯めていきたいなと思っていて。○○さんは、何かお金を使うことで大事にしていることはありますか?」
こう聞くと、相手は数字ではなく、考え方で答えてくれます。そして、その答え方そのものに、お金との向き合い方がにじみ出ます。真剣交際に進んだら、具体的な数字は、お金の話し合いの手順を参考に、二人で確かめていけば十分です。
年収を「足切り条件」にしすぎない
婚活でもったいないのが、年収を厳しい足切り条件にしてしまうことです。「年収○○万円以上」と最初から絞ると、その枠の外にいる、誠実で堅実で、あなたを大切にしてくれる人を、出会う前にふるい落としてしまいます。
相談所でも、条件を少しゆるめて出会った相手と、ご縁が決まる方は少なくありません。婚活がうまくいく人は、年収を「足切り」ではなく、「判断材料の一つ」として見ています。人柄や価値観も含めて、総合的に見る。その柔らかさが、良縁を引き寄せるのです。
もし、どうしても年収の条件が外せないと感じるなら、その金額の理由を、一度言葉にしてみてください。「住みたい街の家賃がこのくらいだから」「親の介護に備えたいから」。理由がはっきりしていれば、それは大切な条件です。理由が「なんとなく」なら、それは条件ではなく、不安の裏返しかもしれません。高すぎる理想に悩む方は、婚活の高望みの記事もあわせて読んでみてください。
まとめ:年収より、二人で暮らしを築けるか
結婚相手に必要な年収に、全国共通の正解はありません。目安は、二人の手取りの合計で毎月の支出をまかない、そのうえで貯蓄ができるかどうか。社人研の調査でも、男性が女性の経済力を考える割合が増え、結婚とお金の考え方は「養う」から「支え合う」へと動いています。
年収という数字に、とらわれすぎないでください。持てる人は、相手の稼ぎを値踏みするより、二人でどんな暮らしを築けるかを一緒に考えられる人です。結婚の豊かさは、年収の額ではなく、お金の話を笑ってできる二人の関係に宿ります。お金と結婚にまつわるヒントは、LINEでも無料でお届けしています。よければ受け取ってみてください。
出典:国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」(2021年)、総務省「労働力調査」。家計の計算例の金額は、考え方を示すための仮の数字です。
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