社会・論考

結婚は「持てる人」
のものになったのか

関口美奈子

こんにちは。関口美奈子です。
かつて、結婚は「誰もが、いつかはするもの」でした。お見合いや、地域や職場のつながりが、半ば自動的に、人と人を結びつけていた。ところが、いま、結婚は、静かに、その性格を変えつつあります。
結婚が、誰もができることではなく、一部の「持てる人」のものになっていく——私はこれを、「結婚の階層化」と呼んでいます。今日は、この、語られにくい分断について、考えてみたいと思います。

結婚率と、経済力が、結びついた

まず、見つめたいのは、結婚と経済の、結びつきです。近年、収入と結婚のしやすさが、はっきりと連動するようになりました。経済的に安定した人ほど結婚し、そうでない人ほど、結婚から、遠ざかっていく。

かつて、地域や、親戚や、職場が、「お膳立て」をしてくれた時代には、経済力の差は、ここまで露骨には、結婚を左右しませんでした。けれど、そうした共同体のお膳立てが消え、すべてが「個人の自由競争」になったとき、結婚は、持てる者がより手にし、持たざる者がこぼれ落ちる、市場になったのです。自由化は、選択肢を広げると同時に、格差を、むき出しにしました。

「子育ての贅沢品化」と、地続き

この現象は、以前お話しした「子育ての贅沢品化」と、地続きです。子どもを持つことが、経済的なゆとりのある人の「贅沢品」になりつつあるなら、その手前にある結婚もまた、同じ階段を、上りはじめている。

つまり、結婚も、家族も、かつては「当たり前の人生」だったものが、いまや、一定の条件を満たした人だけが手にできる、「持てる人の証」へと、変わりつつある。結婚指輪は、愛の象徴であると同時に、「私は、結婚できる側にいる」という、静かな階層の記号にも、なりかけているのです。これは、とても、寂しい変化です。

「自己責任」という、冷たい言葉

そして、この階層化を、いっそう残酷にしているのが、「自己責任」という言葉です。「結婚できないのは、努力が足りないからだ」「魅力がないからだ」と。

でも、本当に、そうでしょうか。出会いの場が、地域から消え、長時間労働で、人と知り合う余裕もなく、住む場所によってご縁の数すら、大きく違う。——こうした、個人の力ではどうにもならない構造の中で、結婚から遠ざかっている人を、「自己責任」の一言で、切り捨てる。それは、あまりに、冷たい。結婚の階層化は、努力の差ではなく、環境の差が、生み出している面が、とても大きいのです。

分断を、埋めるものは何か

では、この分断を、どうすれば、埋められるのか。鍵は、かつての共同体が担っていた「お膳立て」の機能を、現代的な形で、取り戻すことにあります。

地域や親戚が消えた今、その役割を、別の仕組みが、引き受ける必要があります。出会いを、個人の「自由競争」だけに任せず、誰もが、安心して、ご縁にアクセスできる場をつくる。——私が結婚相談所を営んでいるのも、実は、この問題意識からです。縁が市場化した社会で、お金や条件の格差で、出会いから取りこぼされる人を、減らしたい。相談所は、贅沢品ではなく、分断された縁を、もう一度つなぎ直す、社会のインフラであるべきだと、私は思っています。

結婚は、誰もが持てるべき縁

最後に、強く言いたいのです。結婚は、本来、一部の「持てる人」だけの、贅沢品では、ありません。誰もが、望むなら、温かい家庭を築ける——それが、健やかな社会の、あるべき姿です。

結婚の階層化は、放っておけば、孤独の階層化、そして、社会の分断へと、つながっていきます。だからこそ、私たちは、「自己責任」で片づけるのをやめ、誰もがご縁に手を伸ばせる仕組みを、社会の中に、つくり直していかなければなりません。結婚は、努力で勝ち取る競争ではなく、誰もが分かち合えるべき、人と人の、温かいつながり。その原点を、忘れたくないと思います。
結婚や孤独をめぐる社会のお話は、講演や取材でもお伝えしています。そして、出会いに悩む方は、よければ一度、ご相談くださいね。

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よくある質問

結婚は「持てる人」だけのものになったのですか?
結婚率と経済力が結びつき、結婚が一部の人のものになりつつあります。これは「結婚の階層化」という分断で、子育ての贅沢品化とも地続きの問題です。
収入が低いと結婚できないのは自己責任ですか?
自己責任という言葉で片づけてはいけない問題です。結婚しにくさは個人の努力不足ではなく、経済格差が縁の格差に直結する社会構造から生まれています。
結婚の格差を越える道はありますか?
あります。結婚は本来、誰もが持てるべき縁です。個人が自分の魅力を磨く努力と並行して、社会が経済的支えを設計し直すこと——その両面で分断は埋められます。

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