こんにちは。関口美奈子です。結婚相談所「エースブライダル」を運営しています。
「年収は?」「身長は?」「学歴は?」。——婚活は長らく、こうした条件で相手を品定めし、競り落とす「スペック婚」の世界でした。けれど近年、令和の婚活を語るキーワードは、「価値観」「共感」へと、はっきり移りつつあります。なぜ、条件で選ぶ時代は、行き詰まったのか。今日は「スペック婚の黄昏」を、考えます。
スペックは「わかりやすい」から、選ばれた
そもそも、なぜ私たちは、条件で相手を選んできたのか。理由はシンプルで、スペックは、わかりやすいからです。年収も、身長も、数字で比べられる。優劣が、ひと目でつく。
人柄や相性のように、つかみどころのないものより、数字は安心できる。だから婚活市場は、いつしか、スペックを軸に回るようになりました。プロフィール欄は、まるで商品の仕様書。人間が、条件の束として、並べられたのです。
「条件で選ぶ」と、なぜ幸せになれないのか
ところが、この方法には、致命的な欠陥があります。条件で選んだ結婚は、条件で壊れるということです。
高い年収に惹かれて結婚すれば、収入が下がった瞬間、relationの土台が揺らぐ。スペックという「点」は、結婚生活という「線」を、支えきれません。そして何より、自分が条件で相手を測れば、自分もまた、条件で測り返される。スペック競争は、勝者のいない消耗戦です。条件の上には、つねに、もっと上がいるのですから。
「価値観婚」へ——令和の静かな転換
こうした行き詰まりの先に、いま芽吹いているのが、「価値観婚」です。何を大切にして生きるか。お金をどう使うか。家族とどう関わるか。——そうした『生き方の文法』が合うかを、軸にする結婚観です。
これは、後退ではなく、成熟だと私は思います。スペックという「外側」ではなく、価値観という「内側」を見る。タイパやコスパで恋愛を測ってきた世代が、最後にたどり着いた、いちばん賢い結論なのかもしれません。
ただし「価値観が合う」も、誤解されやすい
とはいえ、注意も必要です。「価値観が合う」を、「趣味が同じ」「話が盛り上がる」と取り違える人が、とても多いのです。それは、価値観ではなく、ただの「気が合う」にすぎません。
本当に見るべきは、お金・仕事・家族・将来といった、人生の重い決断において、判断の方向が近いかです。映画の趣味がずれていても、結婚は続きます。けれど、お金の使い方や、家族への向き合い方がずれていれば、関係は、静かに削られていく。価値観婚とは、『楽しい』ではなく『揉めない』を見抜く目のことなのです。
プロは「価値観の翻訳者」になる
ここに、これからの婚活サポートの、新しい役割があります。条件をマッチングさせるだけなら、機械にもできる。けれど、目に見えない価値観を読み解き、二人の相性を翻訳するのは、人間にしかできません。
スペックの裏にある、その人の生き方を見る。表面の条件に惑わされる人に、本当に大切な軸を示す。——スペック婚が黄昏を迎えるこれからの時代、私たちのような相談所の仕事は、『条件の仲介者』から『価値観の翻訳者』へと、変わっていくのだと思います。
おわりに:人は、仕様書では選べない
スペック婚の黄昏は、私たちが、ようやく当たり前のことに気づきはじめた、ということです。人は、仕様書では選べない。一緒に生きていくのは、年収でも学歴でもなく、『その人そのもの』なのだから。
条件は、出会いの入り口にすぎません。その先で問われるのは、価値観が響き合うかどうか。私たちは、その響き合いを見極めるお手伝いをしています。こうした結婚観の変化について、講演や取材も承っています。ご関心があれば、お気軽にご連絡ください。
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