世界の恋愛研究ノート関口美奈子 公式サイト
パートナーシップ2026-10-19

ひとり運動より、ふたり運動の夫婦のほうが揉めにくかった

ジムで自分を磨くより、ふたりで汗をかくほうが、会話と結びついていた。

この研究でわかったこと

米国の若い夫婦1,693組を調べたところ、妻も夫も、ひとりでの運動とパートナーとの運動のどちらも、夫婦のコミュニケーションの高さ、対立解決の高さ、衝突の少なさと関連していました。そして両方を同時に分析すると、より一貫して強い関連を示したのは、ひとりの運動ではなく、ふたりで行う運動のほうでした。この傾向は夫でも妻でも同じでした。ひとりの運動にも良い関連はある。そのうえで、夫婦の関係の良さをより強く予測する手がかりは「ふたりで動くこと」だった、という結果です。

論文
若い既婚カップルにおける共同運動:夫婦の対立、対立解決、コミュニケーションとの関連を探る
Conjoint Exercise among young married couples: Exploring associations with couple conflict, conflict resolution, and communication
掲載誌・公開
Family Relations(2026-08-05)
方法
米国の若い夫婦1,693組の横断調査(早期結婚を扱う全国代表研究のデータ)
原典
https://doi.org/10.1111/fare.70260

関口美奈子の読み方

「運動は自分磨き」と思っている人ほど、ジムにひとりで通います。もちろん、それを否定する結果ではありません。この研究でも、ひとりの運動は会話の質や対立の解決の高さと関連していました。ただ、ふたりの運動と同時に比べると、頼りになる手がかりは「ふたりで動く」ほうだった。ここが面白いところです。

私はここに、ふたりの間に貯まる並走資産のようなものを感じます。向かい合って話す時間は、うまく話そうとして力が入ります。でも並んで体を動かしていると、視線は同じ方向で、息も少し上がり、取り繕う余裕が減ります。そこに積み重なる「この人となら自然に動ける」という感覚が、のちの会話や揉めごとの扱い方に表れるのかもしれません。これは私の読み解きで、研究が理由まで示したわけではありません。

婚活の目線で言えば、大事なのは結婚してからではなく、その前です。この調査は結婚している夫婦のデータですが、これから結婚する人には「相手とどんな時間を過ごせる人か」を見る物差しになります。食事の席では上手に話せる人でも、体を動かす場面で相手のペースに合わせられるか、一緒に楽しめるか。そこに、衝突したときの向き合い方の予告編が見えるかもしれません。

「持てる人」は、相手を評価する前に、先に楽しい場をひらきます。「ちょっと動いてみませんか」と誘える余裕に、運動神経は関係ありません。上手に動くことより、同じ時間をふたりで使う姿勢。関係を育てる器は、案外そんな小さな誘いから大きくなっていく気がします。

明日からの一手

  1. 初デートの候補に、食事だけでなく散歩や軽い運動も入れてみましょう。向かい合うより、並んで過ごす時間のほうが素の姿が見えやすいかもしれません。
  2. 交際中なら、週にいちど「ふたりで体を動かす日」を決めてみる。上手さは問わず、同じ時間を使うこと自体を習慣にします。
  3. ひとりの運動も続けてOK。そのうえで、ときどき相手を誘う。「ちょっと動かない?」くらいの軽さが、長く続けるコツです。
この研究の読み方の注意
ある時点で調べた横断データなので、運動が関係を良くしたのか、仲の良い夫婦ほど一緒に運動しやすいのかは区別できません。対象は米国の若い夫婦で、結果は自己報告に基づきます。

知識は、使う場所があって初めて効く

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解説:関口美奈子(恋愛心理研究家・作家)
のべ3万人以上の恋愛・婚活相談の現場から、海外の研究を日本の恋と婚活の言葉に翻訳しています。プロフィール

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