社会・論考

人は減り、
町は消える

関口美奈子

こんにちは。関口美奈子です。結婚相談所「エースブライダル」を運営しています。
人口減少、消滅可能性都市。そう聞くと、私たちはつい「人が減るから町が消えるのだ」と考えます。けれど、現場で人と人のご縁を結んできた私の見方は、少し違います。
町が消えるのは、人が減るからではありません。先に「縁」が消えるからです。数の減少は、いちばん最後にやってくる結果に過ぎない。今日は、人口問題を「縁」という一点から読み替えてみたいと思います。

「縁の過疎化」という、見えない先行現象

私が提案したい言葉があります。「縁の過疎化」です。

過疎とは、ふつう人口の数的な減少を指します。けれど、その手前で必ず起きていることがある。地域のなかで人と人を結びつけてきた関係=縁が、先に痩せ細っていくのです。かつては祭りがあり、寄り合いがあり、近所のおせっかいな世話役がいて、若い男女は自然と出会い、結ばれていきました。その「縁を生み出す仕組み」が、いつのまにか地域から抜け落ちている。人の数が減るより先に、人をつなぐ回路が減っている。これが、縁の過疎化です。

縁が枯れると、共同体は再生産できなくなる

縁の過疎化が恐ろしいのは、それが連鎖するからです。

出会いの場が失われれば、若者は出会えません。出会えなければ、結婚も生まれません。結婚が減れば、子どもも生まれにくくなる。すると地域はさらに若い世代を失い、祭りや寄り合いの担い手も消え、次の世代の縁を結ぶ仕組みそのものが回らなくなる。共同体が、新しい縁を再生産できなくなるのです。人口減少という数字は、この縁の枯渇が一巡したあとに、ようやく表に出てくる。つまり、私たちが「人口問題」と呼んでいるものの手前には、いつも関係資本の枯渇があるのです。

「消滅可能性都市」を、縁の視点から読み替える

近年、「消滅可能性都市」という言葉が広く語られるようになりました。将来の人口減少によって、自治体としての存続そのものが危ぶまれるとされる地域のことです。

この議論ではよく、地方ほど若者、とりわけ女性の流出が進みやすい、という方向が指摘されます。けれど私は、そこに一つ視点を足したいのです。消滅可能性とは、人口の問題である前に、縁の問題ではないかと。若い女性が地域を出ていくのは、仕事だけの話ではありません。そこに「自分の人生を結べる相手や場所がある」という手応えが持てないからでもある。なぜ地方ほど結婚できないのかを考えると、出会いの母数も、出会いを後押しする縁の仕組みも、都市に比べて細くなっている現実が見えてきます。消滅とは、縁の過疎化が極まった姿なのです。

それは「産まない選択」のせいではない

ここで、はっきりお伝えしたいことがあります。人口減少は、個人が産まない選択をしたから起きているのではない、ということです。

少子化を語るとき、私たちはつい個人の意思や価値観の変化に原因を求めがちです。けれど、本当に変わったのは個人の心ではなく、縁を結ぶ場が地域から失われたことのほうだと私は思います。出会う場がなく、背中を押してくれる人もなく、関係を育てる時間も余裕も持てない。そういう環境のなかで、結果として結婚も出生も起きにくくなっている。問われているのは「産むか産まないか」という個人の選択ではなく、縁を結び直す社会の機能なのです。

町を残すとは、縁を結び直すこと

だとすれば、地方創生や人口対策の本丸も見えてきます。補助金や移住促進だけでは足りません。必要なのは、失われた「縁を生み出す機能」を、地域に取り戻すことです。

若い人が安心して出会える場をつくる。世話役のおせっかいを、現代的なかたちで仕組みに戻す。人と人をていねいにつなぐ役割を、誰かが担い直す。かつて地域の縁は、亡くなる人を皆で送り、生まれる人を皆で迎える、その循環のなかで保たれていました。その循環が細っていく現実は、看取りの社会や、人と人の関わりが薄まる孤独化の問題とも、地続きです。町を残すとは、建物や数字を残すことではなく、人が人と結ばれる回路を残すことなのです。

まとめ:縁を結ぶ仕事の、社会的な意味

人口減少も、消滅可能性都市も、その根に「縁の過疎化」がある——これが今日のお話でした。人が減るから町が消えるのではなく、先に縁が消えるから、やがて人も減っていく。順序を取り違えなければ、打つべき手も変わってきます。

私が結婚相談所という仕事を続けているのも、突き詰めれば「縁を結び直す」社会の機能を、小さくとも担いたいからです。一人ひとりの出会いを後押しすることは、巡り巡って、人と人がつながる地域の力を取り戻すことにもつながると信じています。
もし今、自分のご縁について考えている方がいらっしゃれば、よければ一度、無料相談でお話を聞かせてくださいね。あなたの一歩が、縁の循環を取り戻す、その最初の一歩になるかもしれません。

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よくある質問

「縁の過疎化」とは何ですか?
人口が数として減る「過疎」よりも前に、地域内で人と人を結びつけてきた関係=縁が痩せ細っていく現象を、私は「縁の過疎化」と呼んでいます。若者が出会えず、結婚も出生も起きにくくなり、共同体が新しい縁を再生産できなくなる。人口問題の手前に、関係資本の枯渇があるという考え方です。
消滅可能性都市とは何ですか?
将来の人口減少によって、その自治体の存続そのものが危ぶまれるとされる地域を指して語られてきた概念です。地方ほど若者、とりわけ女性の流出が進みやすいことが背景にあるとされます。ただし具体的な数や年次は議論によって幅があるため、本コラムでは大きな方向性として扱っています。
人口減少は個人が産まない選択をしたからですか?
私はそうは考えていません。個人が産まない選択をしたからではなく、縁を結ぶ場が地域から失われたから、結果として出会いも結婚も出生も起きにくくなった——という順序で捉えるべきだと思います。問われているのは個人の意思ではなく、縁を結び直す社会の機能です。

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