こんにちは。恋愛心理研究家の関口美奈子です。
「いい人なのは分かっている。でも、結婚となると、どうしても踏み切れない」。長くお付き合いしているのに、そう悩む方は本当に多いんです。
そんな方に、まずお伝えしたいことがあります。あなたが踏み切れないのは、相手に決定的な“何か”が足りないからではありません。「これだ」という決め手を探していること、それ自体が、決められない原因なんですね。
「決め手」を探すほど、決められなくなる
多くの人が、「これで結婚を決めていい」と思える、決定的な決め手や100%の確信を待っています。雷に打たれたような「この人だ!」という感覚を。
でも、ここに落とし穴があります。結婚に、100%の確信は、ほとんど訪れません。どんなに相性のいい相手でも、迷いや不安はゼロにはならない。なのに完全な確信を条件にしてしまうと、いつまで経っても踏み切れず、目の前の良いご縁を見送り続けることになります。決め手を探すほど、決められなくなる。これは、とても皮肉な仕組みなんですね。
なぜ、確信は訪れないのか
では、なぜ確信は来ないのでしょう。あなたの優柔不断のせいではありません。時代の事情も大きいんです。
情報があふれ、選択肢が無数にある現代では、「もっといい人がいるかも」という思いが、常につきまといます。以前「選択の過積載」というコラムでお話ししたとおり、選べる相手が多すぎると、人はかえって一つに決められなくなる。さらに、離婚や失敗の情報も簡単に目に入るので、「間違えたくない」という恐れも強くなります。迷うのが当たり前の環境に、私たちは置かれている。だからこそ、確信を待つ戦略は、もう通用しないんですね。
本当の決め手は「条件」ではなく「覚悟」
ここで、発想を大きく変えてみましょう。
結婚の決め手とは、相手の中に見つけるものではなく、自分が決めるものなのです。
「運命の人」のコラムでもお話ししたように、運命の相手は、出会った瞬間に決まっているのではなく、二人で育てた結果、あとからそうなっていくもの。結婚も同じです。完璧な決め手がある相手を探すのではなく、「この人と一緒に育てていく」と自分が腹をくくったとき、その相手が決め手のある人になる。順番が、逆なんですね。条件が覚悟を生むのではなく、覚悟が相手を“運命”に変えていくんです。
条件より、見極めたいたった3つのこと
とはいえ、誰とでも腹をくくればいい、という話ではありません。覚悟する前に、これだけは見ておきたい、という点が三つあります。年収や容姿といった“スペック”ではありません。
ひとつめ、価値観が大きくずれていないか。お金や家族、生き方の根っこの部分です。
ふたつめ、困難を一緒に乗り越えられそうか。順調なときより、トラブルのときの相手の姿が本質を教えてくれます。
みっつめ、お互いを尊重し合えるか。対等に敬意を持てる相手かどうか。
この三つに大きな問題がなければ、あとは欠点を減点していく見方をやめて、覚悟を決めるだけ。完璧さは、どこにも要らないんです。
結婚に踏み切れない理由は、5つに分けられる
「踏み切れない」とひとことで言っても、中身は人によって違います。のべ3万人以上の相談を受けてきて感じるのは、迷いの正体を取り違えたまま、答えを探している人が多いということ。まず、自分の迷いがどれに当たるかを見てみてください。
- 相手への不安:約束を守らない、お金の話をはぐらかす、大切にされている実感がない。相手そのものに理由がある迷いです。
- 自分への不安:家計を一緒に担っていけるか、仕事と両立できるか、自分に家庭を持つ資格があるのか。自信のなさから来る迷いです。
- 変化への不安:一人の時間、住み慣れた街、今の生活のリズム。手放すものが惜しくなる迷いです。
- タイミングへの不安:「仕事が落ち着いたら」「貯金ができたら」。条件がそろう日を待ち続ける迷いです。
- 比較の不安:「もっと合う人がいるかもしれない」。選択肢の多さが生む迷いです。
この中で、相手との関係を見直すべきなのは、一つめの「相手への不安」だけです。これは話し合うか、信頼できる第三者に相談して向き合うべきサイン。残りの四つは、相手を替えても、同じ形でまたやってくる迷いです。自分への不安は準備で小さくでき、タイミングの不安は期限を決めることで終わらせられる。迷いの種類が分かれば、打つ手が見えてきます。
決め手の見つけ方:3つの問いで、自分の答えを確かめる
決め手は相手の中に探すものではなく、自分で決めるもの。そうお伝えしました。それでも「自分の気持ちが分からない」という方は、次の三つを自分に問いかけてみてください。
問い1 相手の機嫌が悪い日を想像しても、一緒にいたいか
楽しいデートの日ではなく、疲れている日、不機嫌な日の相手を思い浮かべます。そのうえで「それでも一緒にいたい」と思えるなら、その気持ちは本物に近い。結婚生活の大半は、特別な日ではなく、こうした普通の日でできています。
問い2 何年か先の、何でもない平日を思い描けるか
結婚式やプロポーズの場面ではなく、平日の夜、二人で夕食を食べている場面を想像してみてください。会話の内容まで思い浮かぶなら、あなたの中で、この人との暮らしはもう形になり始めています。
問い3 この人を失うと想像したとき、惜しいか、ほっとするか
最後に、もし別れたらと想像します。胸が締めつけられるように惜しいなら、迷いは変化への不安であることが多い。反対に、どこかほっとするなら、その気持ちには向き合う必要があります。決め手は、失うことを想像したときにいちばん鮮明に見えます。
ただし、惜しさの正体が「これまでの時間がもったいない」だけなら注意が必要です。サンクコスト効果は、続けた年月を決め手と取り違えさせます。
相手が結婚に踏み切れないときの伝え方
自分は結婚したいのに、相手が踏み切ってくれない。そんなとき、いちばんやってしまいがちなのが、「いつ結婚するの?」と答えを迫ることです。追い詰められた人は、決断より先に逃げ道を探します。急かすほど、相手は遠ざかる。ここにも皮肉な仕組みがあります。
伝えるときのコツは三つです。一つめは、責めるのではなく、相手の迷いの中身を聞くこと。上の5分類のどれに当たるのかが分かれば、一緒にできることが見えてきます。二つめは、「私」を主語にして希望を伝えること。三つめは、時期の話を、相手への最後通告ではなく、自分の人生の計画として伝えることです。
- 「結婚について、今どんなふうに考えているか、聞かせてもらえる? 責めたいわけじゃなくて、知りたいの」
- 「私は、あなたと家族になりたいと思っているよ」
- 「私は、来年のうちには結婚に向けて動き出したいと考えている。だから、あなたの考えも知っておきたい」
- 「不安なことがあるなら、一つずつ一緒に片づけていきたい」
期限を伝えることは、脅しではありません。自分の人生を大切にしている、という表明です。そのうえで相手の答えを待つ。それでも話し合いそのものを避け続けるなら、そのときは、あなた自身の人生の計画を優先して考えてもいいのです。女性の側から見た踏み切れない心理は、結婚に踏み切れない女性の心理で詳しくお話ししています。
踏み切るとは、不完全を引き受けること
最後に。
結婚に踏み切るとは、完璧な相手を見つけることではなく、不完全な相手と、不完全な自分とで、それでも一緒に生きていくと決めることです。
迷いがあるのは、あなたが誠実に向き合っている証拠。その迷いがゼロになるのを待つ必要はありません。先に心を開き、相手の欠点ごと引き受け、一緒に育てていく。そんな「持てる人」の覚悟があれば、不完全なご縁は、かけがえのない関係に育っていきます。
決め手は、空から降ってきません。あなたが「この人と決める」と心を決めたその瞬間に、自分の手で生まれるものなんですよね。
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