認知的不協和
とは

関口美奈子

こんにちは。関口美奈子です。
高い買い物をしたあと、「やっぱり、これは良い買い物だった」と自分に言い聞かせた経験はありませんか。じつはこれ、ある心理の働きによるものです。「認知的不協和」です。
人は、自分の行動と考えが食い違うと、気持ち悪さを感じ、つじつまを合わせようとする。この仕組みを知ると、自分も他人も、ぐっと理解しやすくなります。今日は、わかりやすく解説します。

認知的不協和とは

認知的不協和とは、自分の行動と、考え(信念)が食い違うときに感じる、心の不快感のことです。アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーが提唱しました。

たとえば、「健康が大事」と思っているのに、夜更かしや暴飲暴食をしてしまう。このとき、「考え」と「行動」がぶつかって、心がもやもやします。これが、認知的不協和です。人は、この不快感をとても嫌うので、なんとかして解消しようとします。そして面白いことに、行動を変えにくいとき、人は「考え」のほうを変えて、つじつまを合わせるんですね。

「考え」を行動に合わせてしまう

この「考えのほうを変える」というのが、認知的不協和のいちばん興味深いところです。

たとえば、なかなかやめられない習慣を、「これくらいなら大丈夫」「ストレス解消に必要だ」と正当化する。高価な買い物を、「長く使うから元が取れる」と思い込む。フェスティンガーの実験でも、退屈な作業をした人が、その後「意外と面白かった」と感じるよう考えを変えたことが示されています。
つまり人は、すでにやってしまった行動を否定せずに済むよう、考えのほうを後から書き換える。自分を守るための、自然な心の働きなんですね。

恋愛・自己成長での活かし方

この仕組みは、恋愛や自己成長に、前向きに活かせます。鍵は、「先に行動する」ことです。

認知的不協和を逆手に取ると、「やる気が出たら動く」のではなく、「先に動くと、心が後から前向きになる」という使い方ができます。
たとえば、気が乗らなくても、相手に小さな親切をしてみる。すると、「親切にした=自分はこの人を大切に思っているはず」と、気持ちが行動に合わせて温まっていく。これは「自分が手をかけた相手ほど、好きになる」という心理にもつながります。以前「行動できないのはなぜ?」でお話しした「行動が、やる気や気持ちを後から連れてくる」のも、この仕組みなんですね。

注意点:自分への言い訳に注意

ただし、認知的不協和には、気をつけたい面もあります。それは、都合の悪い現実から目をそらす「言い訳」にも使われてしまうことです。

本当は見直すべき関係なのに、「彼にも事情があるから」と正当化して、問題を直視しない。改めるべき習慣を、「自分には必要だ」と理屈をつけて続ける。——認知的不協和は、自分を守る働きであるがゆえに、ときに、変わるべきときの妨げにもなります。
だからこそ、「これは本当の納得だろうか、それとも、つじつま合わせの言い訳だろうか」と、ときどき自分に問うてみる。その正直さが、大切なんですね。

まとめ:行動を変えれば、心も動く

認知的不協和が教えてくれる、いちばん前向きな知恵は、これです。心を変えたければ、まず行動を変えればいい

気持ちが追いつくのを待たなくても、先に小さく動けば、心は後から、その行動に合わせて変わっていきます。先に与え、先に踏み出す「持てる人」のふるまいが、やがて自分の気持ちや自信まで育てていくのは、この仕組みのおかげでもあるんですね。
変わりたいと思ったら、考え込む前に、まず一歩。その行動が、あなたの心を、後からちゃんと連れてきてくれますよ。

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