人間関係

大人になってからの
友達の作り方

関口美奈子

こんにちは。恋愛心理研究家の関口美奈子です。
先に答えをお伝えしますね。大人の友達の作り方は、①同じ人と繰り返し会える場所に通う、②こちらから小さく心を開く、③目的のない時間を一緒に過ごす、の三つです。大人になって友達ができにくいのは、あなたに魅力がないからではなく、友情が自然に育つ「仕組み」がなくなっただけなんです。
「学生時代は普通に友達がいたのに、社会人になってから新しい友達がまったくできない」。そんな声を、本当によく聞きます。今日は、その理由と、今日から使える具体的な一歩をお話しします。

大人になると友達ができない、本当の理由

子どもの頃、友達は自然にできました。それは、学校という毎日同じ人と、長い時間を一緒に過ごす環境があったからです。

友情が育つ条件について、社会学者のレベッカ・アダムズは、近くにいること、約束しなくても繰り返し顔を合わせること、気をゆるめて打ち明け話ができる場があること、の三つを挙げています。学校には、この三つが最初からそろっていました。ところが大人になると、職場の関係は役割中心になり、放課後のように「なんとなく一緒にいる」時間が消えます。

さらに、大人の時間は目的でいっぱいです。仕事のため、自分を高めるため。「ただ一緒にいるだけ」の時間は、無駄として真っ先に削られていきます。友情を育てていた土が少しずつ乾いて、気づけば友達がいなくなっている。大人の友情は、こうして音もなく蒸発していきます。その友情の蒸発は、性格のせいではありません。長時間労働や転勤、引っ越しで関係が何度もリセットされる、社会の乾燥が生んだものなんです。

日本で「親しい友人がいない」と感じる人が多いことは、国際比較の調査でもたびたび指摘されてきました。口に出さないだけで、多くの大人が同じ寂しさを抱えています。あなただけではありません。

大人の友達は「時間」で育つ

アメリカの研究者ジェフリー・ホールが2018年に発表した研究では、知り合いが友達になるまでにおよそ50時間、親しい友達になるには200時間以上を一緒に過ごしていたと報告されています。

この数字を知ると、少し気が楽になりませんか。友達ができないのは、あなたの話がつまらないからでも、魅力が足りないからでもなく、単純に一緒に過ごした時間が足りていないだけかもしれません。逆に言えば、時間を重ねられる場所さえ見つかれば、友情は誰にでも育ちます。

ここで大切なのは、時間の「量」と同じくらい「質」です。仕事の打ち合わせを何時間重ねても、友達にはなりにくいもの。雑談をしたり、一緒に笑ったり、少し弱音をこぼしたり。そうした目的のない時間こそが、友情の時計を進めてくれます。

大人の友達の作り方:今日からできる五つの一歩

①「繰り返し通える場所」を一つ決める

一度きりの交流会より、毎週や毎月、同じ顔ぶれが集まる場所を選びます。趣味のサークル、習い事、ジムのクラス、社会人向けの講座、地域の活動。何度も顔を合わせる相手には、自然と親しみがわきます。単純接触効果と呼ばれる心理です。

②あいさつに、一言だけ足す

「こんにちは」だけでなく、「こんにちは、今日は寒いですね」「先週お休みでしたね」。一言足すだけで、相手はあなたを「話しかけていい人」として覚えてくれます。

③相手のことを、一つ覚えておく

前回聞いた話を覚えておいて、「この前言っていた旅行、どうでした?」と聞く。自分のことを覚えていてくれる人に、人は心を開きます。

④小さな誘いを、自分から出す

「このあとお茶でもどうですか」「今度その店、一緒に行きませんか」。帰り道の30分のお茶くらいの、断られても気まずくない大きさがちょうどいいです。たいていの人は、誘われるとうれしいもの。断られても、それはタイミングが合わなかっただけです。

⑤用がなくても、連絡する

「この本、〇〇さんが好きそうだなと思って」。理由のない連絡は、相手を思い出していたという何よりのメッセージになります。

職場で友達をつくるなら

職場の人とは、役割を離れた場で一度会うと、関係が変わります。ランチを一緒にする、帰りの駅まで並んで歩く、仕事以外の趣味の話を一つ聞いてみる。仕事の話から少しだけはみ出した会話が、同僚を友達に変える入口になります。ただし、相手が距離を保ちたい様子なら無理に踏み込まず、あいさつと感謝を丁寧に続けるだけで十分です。

人見知りでも大丈夫:「たくさん」ではなく「一人」でいい

大人の友達作りで、大勢のグループを目指す必要はまったくありません。大人にとって大切なのは、数より質です。利害ぬきで、ただ一緒にいて心地よい。そんな相手が一人いれば十分です。

人見知りの方は、少人数で、手を動かす場を選ぶと楽になります。料理教室、陶芸、ボードゲーム、ランニングの会。目の前の作業があると、無理に話題を探さなくても会話が自然に生まれます。話すのが苦手なら、聞き役に回れば大丈夫。相手の話に興味を持ってうなずいてくれる人は、どこでも大切にされます。

以前、相談に来た男性が「仕事以外で話す人が一人もいない」とこぼしていました。彼が始めたのは、週に一度の朝のランニングの会。最初の二か月は、ほとんど誰とも話さなかったそうです。でも、毎週同じ時間に顔を出すうちに、ある日「いつも来てますよね」と声をかけられ、走ったあとの朝ごはんに誘われるようになりました。半年後、彼はうれしそうに言いました。「友達って、こうやってできるんですね」。

友達がいることは、恋愛と結婚の土台になる

結婚相談所で多くの方とお会いしていると、友達との関係が豊かな人ほど、交際も穏やかに進む傾向を感じます。雑談をする、心を開く、ときにぶつかって仲直りする。友情は、人とつながる力を鍛える場でもあるからです。

反対に、友情という土台がやせ細ったまま、いきなり恋愛という深い関係を結ぶのは、とても難しいことです。とくに男性は、誰にも弱音を吐けないまま孤独を深めやすいといわれます。日本でいちばん孤独なのは誰かのコラムでも、このことにふれています。

恋人が欲しいと思ったときこそ、まずは友達を一人。遠回りに見えて、実はいちばん確かな近道です。友達と過ごす時間が増えると、表情がやわらぎ、話し方に余裕が出てきます。その余裕は、恋愛の場でもちゃんと伝わります。

まとめ:目的のない時間を、もう一度

大人になってからの友情の鍵は、「目的のない時間」を、意識して取り戻すことです。同じ場所に通い、一言多くあいさつをし、小さく誘う。意味を求めずに、ただ一緒にお茶を飲む。一見無駄に思えるその時間こそが、友情を育てます。

見返りを計算せずに、先に声をかけられる人。それは、友情においてこそ力を発揮する「持てる人」のふるまいです。そして社会の側にも、仕事でも家庭でもない、気軽に人が集える第三の居場所を取り戻していく宿題があります。

友達は、子どもだけの特権ではありません。今日、気になる場所に一歩、足を運んでみてください。新しい友情は、何歳からでも始められます。

出典:Jeffrey A. Hall (2019) "How many hours does it take to make a friend?", Journal of Social and Personal Relationships 36(4)(2018年オンライン公開)。「親しい友人がいない」割合の国際比較(OECDの社会指標に関する調査など)、内閣府「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」。具体的な割合の断定は避け、傾向として記述しています。文中の会員さんや相談者の例は、相談の現場でよく見られる傾向をもとに再構成したもので、特定の個人の話ではありません。

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よくある質問

大人の友達の作り方を教えてください。
同じ人と繰り返し会える場所に通う、こちらから小さく心を開く、目的のない時間を一緒に過ごす、の三つが基本です。趣味のサークルや習い事など、毎週や毎月同じ顔ぶれが集まる場を一つ決めるところから始めてみてください。
社会人になると、なぜ友達ができないのですか?
学校のように毎日同じ人と長い時間を過ごす環境がなくなり、友情が自然に育つ機会が減るからです。あなたの魅力の問題ではなく、出会いの仕組みが変わっただけです。
友達になるまでには、どのくらいの時間がかかりますか?
研究では、知り合いが友達になるまでにおよそ50時間、親しい友達になるには200時間以上を一緒に過ごしていたと報告されています。焦らず、時間を重ねられる場を持つことが大切です。
人見知りでも大人になってから友達を作れますか?
作れます。たくさんの友達は必要なく、気の合う一人で十分です。料理教室やボードゲームなど、少人数で手を動かす場を選ぶと、無理に話題を探さなくても会話が生まれやすくなります。
友達がいないことは、恋愛や婚活に影響しますか?
友情は、雑談をし、心を開き、ときに仲直りするといった、人とつながる力を鍛える場でもあります。友達との時間が増えると表情や話し方に余裕が出て、その余裕は恋愛の場でも伝わります。

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