こんにちは。関口美奈子です。結婚相談所「エースブライダル」を運営しています。
少子化の話になると、決まってこう言われます。「最近の若者は、子どもを望まなくなった」と。でも、現場にいる私から見ると、その診断は、根っこのところで間違っています。
はっきり申し上げます。少子化の本当の原因は、「若者が子どもを望まなくなった」からではありません。結婚した夫婦が持つ子どもの数は、実は大きくは減っていない。減っているのは、そもそも「結婚にたどり着けない人」のほうなのです。今日は、この構造を、私なりの言葉でほどいてみます。
「望まなくなった」という誤診
まず、事実の方向を押さえておきましょう。日本の合計特殊出生率は、近年、過去最低圏で推移しているとされます。これは間違いなく深刻です。けれど、その内訳を見ると、世間のイメージとは少し違う風景が見えてきます。
結婚した夫婦が持つ子どもの数、いわゆる有配偶出生は、合計特殊出生率ほどには大きく下がっていないと言われています。つまり、「結婚した人は、今もそれなりに子どもを持っている」。にもかかわらず全体の出生率が下がるのは、分母である『結婚する人』そのものが減っているから。生涯未婚率は、男女ともに長く上昇傾向にあります。少子化の中心にあるのは、子ども嫌いの蔓延ではなく、未婚化なのです。
少子化の前に、まず「結婚」が消えている
多くの人が、子どもを望んでいないわけではありません。各種の意識調査では、「いずれ結婚したい」「子どもがほしい」と答える未婚者は、今もなお多数派とされます。願望は、ちゃんとある。けれど、その願望と現実のあいだに、深い谷が横たわっている。
その谷の名は、出会いの不在です。職場や地域といった、かつて自然に縁を結んでいた回路が細り、「気づいたら、出会いのないまま年だけが過ぎていた」という人が増えました。結婚の時期がじわじわ後ろにずれていく晩婚化も、人と人がつながりにくくなった社会の孤独化も、根は同じところにあります。少子化を語る前に、私たちはまず、「結婚そのものが、起こりにくくなった社会」を直視しなければなりません。
「出生の自己責任化」という構造
ここで、私が現場で感じてきたことを、ひとつの言葉にまとめます。今の日本を覆っているのは、「出生の自己責任化」という構造だと、私は考えています。
これは、こういうことです。かつて、子を持ち、育てることは、家や地域や会社といった共同体が、まるごと支える営みでした。だからこそ、人は安心して家庭を持てた。ところが今は、結婚するのも、産むのも、育てるのも、教育費を工面するのも、すべて「あなたが選んだことなのだから、あなたが背負いなさい」という空気に切り離されてしまった。産むかどうかは、完全に個人の選択・自己責任の問題になったのです。
選択の自由は、もちろん尊いものです。けれど、自由とセットで支えを取り去ってしまえば、待っているのは「リスクは全部こちら持ち」の人生設計です。すると人は、合理的にこう判断します——「自信を持って背負えるようになってから」。その「準備が整う日」は、なかなか来ません。こうして、社会が次世代の再生産を支えなくなった結果として、出生は静かにしぼんでいく。これが、自己責任化の帰結です。
「持てる人」だけが家庭を持つ社会
自己責任化が進んだ社会では、結婚と出産が、だんだんと「余裕のある人の特権」のようになっていきます。
安定した収入、将来の見通し、心の余白——それらを十分に「持てる人」は、家庭を持つことができる。逆に、雇用が不安定だったり、将来に確信が持てなかったりする人ほど、「自分には無理だ」と、入り口の前で立ち止まってしまう。本来であれば社会全体で分かち合うべきリスクが、個人に丸投げされた結果、家庭を持つことが一種の格差になっていく。これは、社会としてかなり危うい状態だと、私は思っています。
あなたの努力不足ではなく、社会構造の問題
だからこそ、声を大にして言いたいのです。もしあなたが今、結婚や子どもを持つことに踏み出せずにいるとしても、それはあなたの努力不足でも、覚悟が足りないからでもありません。
あなたは、「支えを外したまま、自己責任だけを求める社会」の中で、まっとうに慎重になっているだけです。婚活がうまくいかないとき、人はつい「自分に魅力がないからだ」と内側を責めます。けれど、構造を見れば、個人の資質の話ではないことがよく分かる。実際、近年は結婚願望の男女逆転とも言われる変化が起きていて、「誰が・どう動くべきか」という前提そのものが揺らいでいます。自分を責める前に、まず土俵が傾いていることに気づいてほしいのです。
では、何を変えればいいのか
構造の問題なら、本来は社会の側が変わるべきです。安心して家庭を持てる経済的な土台、子育てを個人に背負わせない支え、そして何より、結婚を望む人が、ちゃんと出会いにたどり着ける仕組み。少子化対策とは、出産を急かすことではなく、この入り口を広げることだと、私は考えています。
とはいえ、社会が変わるのを待っているあいだにも、一人ひとりの時間は流れていきます。だから私は、現場でできることをします。エースブライダルがやっているのは、まさに「自己責任化で細ってしまった出会いの回路を、もう一度つなぎ直す」仕事です。結婚を望む方が、その願いを一人で抱え込まずにすむように、伴走しています。
まとめ:少子化は「個人の心」ではなく「社会の構造」
少子化の本当の原因は、若者が子どもを望まなくなったことではなく、結婚そのものに至れない未婚化であり、その背後にある「出生の自己責任化」という構造でした。産み育てる営みを共同体が支えなくなり、リスクだけが個人へ押し戻された結果として、出生は静かにしぼんでいったのです。
これは、誰かの心がけの問題ではありません。だから、自分を責める必要はまったくない。けれど、結婚を望む気持ちがあるなら、その一歩を後押しできる場所はあります。
「いつか」と思いながら、出会いの入り口で立ち止まっている方は、よければ一度、私たちエースブライダルの無料相談でお話を聞かせてくださいね。構造の話をしながら、あなた自身の一歩も、一緒に考えていけたらと思います。
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