心理学

アンダードッグ
効果とは

関口美奈子

アンダードッグ効果とは、不利な側や、劣勢に立たされた側を、人が応援したくなる心理です。日本で古くから言われてきた「判官びいき」と同じ働きで、勝ちが見えている側よりも、懸命に食らいついている側に、気持ちが動いてしまうことを指します。

こんにちは。恋愛心理研究家の関口美奈子です。
試合を見ていて、なぜか強いほうではなく、負けているほうを応援していた。売れている名店の隣で、静かに頑張っている小さな店を、つい選んでしまった。そんな覚えは、ありませんか。
これは「アンダードッグ効果」と呼ばれる心理で、日本語でいえば判官びいきです。そして恋愛の場では、この働きが、私たちが思う以上に大きく人を動かしています。今日は、完璧に仕上げた人より、一生懸命な人のほうが選ばれてしまう理由と、その「隙」をどう設計するかを、お話しします。

アンダードッグ効果とは

アンダードッグ効果とは、不利な側・劣勢の側に、人が味方したくなる心理です。もともとは選挙の場面で語られてきた考え方で、劣勢が伝えられた候補に、かえって票が集まっていくような動きを指します。

向きが逆の心理もあります。人気のある側、優勢な側に人が集まっていくバンドワゴン効果です。この二つは矛盾しているようで、じつは同じ場面で同時に働きます。「人気だから、気になって見に行く」で目が向き、「頑張っているから、応援したい」で心が動く。注目を集めるのは優勢さで、味方をつくるのは懸命さ。役割が違うんですね。

なぜ人は、勝っている側ではなく、追う側に肩入れするのか

理由は、大きく二つあると私は考えています。一つは、物語として面白いから。勝つと分かっている側の勝利には、驚きがありません。追いかけている側には、これから何が起きるか分からない余白がある。人は、余白のあるほうに心を預けます。

もう一つは、もっと切実な理由です。自分の出番があるから。すべてを持っている人には、こちらから差し出せるものがありません。応援というのは、自分にも役割が回ってきてはじめて生まれる感情です。完璧な人が敬遠されがちなのは、嫌われているからではなく、関われる隙間がないから。これは、恋愛でとても大事な視点です。

恋愛で効くのは「弱さ」ではなく「一生懸命な弱さ」

ここで、はっきりさせておきたいことがあります。応援されるのは、弱さそのものではありません。向かっている途中の弱さです。

同じ「うまくできない」でも、「どうせ自分なんて」と止まっている人と、「まだ下手だけど、続けてはいるんです」と笑える人とでは、受け取られ方がまるで違います。前者は相手の気持ちを重くし、後者は相手の手を引き出します。私はこれを、「伸びしろの見える弱さ」と呼んでいます。相手が惹かれているのは弱さではなく、その先にある変化のほうなんです。

ですから、避けたほうがよいのは、努力の見えない弱さの訴えと、不幸の競い合い。婚活の場でこれをやってしまうと、相手は同情はしても、隣に立ちたいとは思えません。逆に効くのは、苦手なことに取り組んでいる最中の話です。話し方を練習している、料理を覚えはじめた、走りはじめた。うまくいっていない部分ごと差し出す姿は、そのまま自己開示の返報性を呼び、相手も本音を返しやすくなります。

隙は、無防備ではなく「設計」でつくる

持てる人を見ていて思うのは、隙が自然にあるのではなく、置き場所が決まっているということです。全方位に緩い人は、応援されるのではなく、軽く扱われてしまう。ここを取り違えると、この心理は逆に働きます。

置き方のコツを、三つに絞ります。一つ目は、土台の部分では隙をつくらないこと。清潔感、約束を守ること、お金の扱い。ここが緩いと、弱さは「危うさ」に変わってしまいます。二つ目は、相手の得意分野に隙を置くこと。相手が詳しいことを素直に教わる姿勢は、いちばん受け取りやすい隙です。「詳しくないので、選んでもらえますか」の一言が、相手を主役にします。三つ目は、頼りっぱなしにしないこと。応援は、返ってくる手応えで続きます。教わったことを次に実行して報告する。この往復があると、応援は一度きりで終わらず、関係になっていきます。

まとめ:完璧は尊敬され、懸命は応援される

アンダードッグ効果は、不利な側に味方が生まれる心理でした。恋愛に置き換えるなら、完璧な人は尊敬され、懸命な人は応援されるということです。そして人が長く一緒にいたいと思うのは、たいてい、応援したくなるほうです。

隠すのをやめる必要はありません。土台を整えたうえで、頑張っている途中の自分を、一つだけ相手に見せてみてください。人は、完成品に見とれることはあっても、心を寄せるのは、まだ途中のものにです。あなたの未完成な部分は、隠すべき欠点ではなく、誰かがあなたに関わるための入口かもしれません。
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よくある質問

アンダードッグ効果とは何ですか?
不利な側や、劣勢に立たされた側を、人が応援したくなる心理です。日本で古くから言われてきた「判官びいき」と同じ働きで、勝ちが見えている側より、懸命に食らいついている側に、気持ちが動いてしまうことを指します。
アンダードッグ効果とバンドワゴン効果は、どう違うのですか?
向きが逆です。バンドワゴン効果は、人気のある側・優勢な側に人が集まる心理で、アンダードッグ効果は、不利な側に味方が生まれる心理です。同じ場面で両方が働くこともあり、「人気だから気になる」で目を向けた人が、「頑張っているから応援したい」で心を動かす、という順番になることもあります。
恋愛で「隙」を見せるには、どうすればよいですか?
できないことを並べるのではなく、頑張っている途中の姿を、そのまま見せるのが効きます。苦手なことに取り組んでいる話や、相手の得意分野で素直に教わる姿勢は、応援したい気持ちを引き出します。逆に、努力の見えない弱さの訴えや、不幸の競い合いは、相手の気持ちを重くしてしまいます。

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