こんにちは。恋愛心理研究家の関口美奈子です。
結婚相談所を運営しながら、日本社会の未婚化と孤独化を長く追いかけてきました。
自治体や経済団体でお話しするとき、最初に置く結論があります。未婚化が進んだのは、若い人が結婚したくなくなったからではありません。縁を運んでくる装置が、社会から外れたからです。
「縁の市場化」という正体
かつて日本には、黙っていても縁を運んでくる仕組みがありました。地域、親戚、職場、世話好きの人。当人が動かなくても、まわりが引き合わせていた。
それが次々と縮小し、いま縁は自分で市場に取りに行くものになりました。私はこれを「縁の市場化」と呼んでいます。
市場に出るには支度が要ります。ところがその支度を、学校でも家庭でも誰も教えません。装置は外したのに、手順は配らなかった。これが、いま起きていることの正体です。少子化対策を「意識の問題」として設計すると、必ずここを外します。
連なる概念で、構造として捉える
講演では、この変化を単発の現象ではなく、つながった構造としてお話しします。
家族の外注化|家族が担っていた機能が、次々と外部サービスに置き換わりました。便利になった一方で、関係を続ける理由も一緒に薄くなりました。
役割の空白|男性役割・女性役割という古い台本は壊れましたが、次の台本はまだ配られていません。この空白が、対立と沈黙を生んでいます。
孤独の商品化|ひとりで生きられるサービスが充実するほど、ひとりでいる負荷は下がります。結婚しなくても平気になったのは、意思の変化ではなく環境の変化です。
縁という社会保障|関係は、健康にも寿命にも効きます。縁の薄さは、やがて医療と介護の費用として社会に戻ってきます。だから未婚化は、福祉と財政の課題でもあります。
講演メニュー
| 演題(例) | お伝えする内容 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 日本社会はなぜ孤独化したのか|「縁の市場化」という正体 | 装置は外れたのに手順は配られなかった。未婚化の構造を解く基調講演 | 自治体・議会・経済団体 |
| 少子化対策を、意識の問題にしない | 出会いの場を作るだけでは決まらない理由。支度の手順という抜けた一手 | 自治体・行政・支援団体 |
| 日本でいちばん孤独なのは誰か|中年男性と沈黙する縁 | 職場が唯一の関係になる構造。孤立が医療・介護費用に変わるまで | 自治体・健康経営担当・議会 |
| 縁という社会保障|関係の薄さが財政に返ってくる | 関係資本を福祉と財政の言葉で語り直す。政策設計への接続 | 自治体・議会・経済団体 |
| 家族の外注化と役割の空白 | 家族機能の外部化と、壊れた台本のあとに何を置くか | 自治体・大学・団体 |
あなたの努力不足ではない、という再定義
この話をすると、会場の空気が変わる瞬間があります。「自分が悪いのだと思っていた」という反応です。
結婚できない、友人が減った、頼れる人がいない。これらはずっと個人の努力の話にされてきました。けれど構造を見れば、多くは社会の側で装置が外れたことの帰結です。
責任の所在を正しく置き直すことは、慰めではありません。打ち手を正しい場所に置くための、実務的な作業です。政策も、企業の施策も、そこからしか設計できません。
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おわりに
少子化も孤独も、大きすぎて手がつけられない問題に見えます。けれど分解していけば、手をつけられる場所は必ずあります。
現場で人と人を引き合わせてきた立場から、机上の議論にならない粒度でお話しします。