世界の恋愛研究ノート関口美奈子 公式サイト
結婚と社会2026-10-06

独身のままでも、人生の満足度は高いままだった

独身は「まだ途中」の状態だと思われがちです。けれど、データはそう語っていませんでした。

この研究でわかったこと

ドイツの一度も結婚したことのない独身者2,930人(18〜48歳・生まれ年の異なる複数の世代)を、2009/2010年から2020/2021年までの11年間追跡しました。多くの人の人生満足度は一貫して高く、比較的安定していました。一方、独身生活への満足度、性生活への満足度、パートナーを求める気持ちは人によるばらつきが大きく、その違いは主に出発時点の高さの差で、時間がたってもあまり変わりませんでした。幸福度が最も高いグループは学歴が高く、外向的で、フルタイムで働く人が多く、神経症傾向が低めでした。パートナーを最も強く求めるグループは、学歴が相対的に低めで協調性が高い傾向がありました。

論文
独身の時代:未婚の独身者の幸福度を世代をまたいで11年追った縦断研究
The Eras of Singlehood: 11-Year Longitudinal Trajectories of Never-Married Singles’ Well-Being Across Cohorts
掲載誌・公開
Personality and Social Psychology Bulletin(2026-08-21)
方法
ドイツの未婚独身者2,930人の11年間の追跡データを、変化のパターン別に分類する分析
原典
https://doi.org/10.1177/01461672261475727

関口美奈子の読み方

人生の教科書の多くは、結婚をゴールのひとつとして描いてきました。その教科書の外側にいる人は、どこか「まだ途中の人」として扱われてきた気がします。けれどこの研究で、11年間未婚のままだった人の多くは、人生全体への満足度が高く、しかも安定していました。独身は欠けた状態ではなく、ひとつの完成した暮らし方でもありうる、ということです。

ここで婚活中の方にお伝えしたいのは、焦りの正体です。独身でいると不幸になるから急がなければ、という感覚は、少なくともこのデータからは裏づけられていません。空いた席を急いで埋めるような空席婚活は、焦りが判断を急がせます。満ちた暮らしを持ったまま、そこに誰かを招き入れる婚活のほうが、相手を落ち着いて選べるはずです。

興味深いのは、パートナーを強く求める気持ちが、協調性の高さと結びついていたことです。人に寄り添う力のある人ほど、誰かと生きることを望んでいる。それは弱さではなく、関係を育てる才能の裏返しだと私は読みました。一方で、独身生活への満足度は人によって大きく違い、その差は年月がたってもあまり変わりませんでした。

だからこそ、独身の幸せも結婚の幸せも、ひとつの物差しでは測れません。社会が「結婚して一人前」という古い物差しを手放せば、結婚したい人は焦らずに選べ、しない人は堂々と暮らせる。婚活は、満ちた人どうしが出会うための場所であってほしいと思います。

明日からの一手

  1. 婚活の前に、いまの暮らしで満たされている時間を書き出し、相手にはそれを分け合いたいと考えてみる。
  2. 「独身だから急がないと」と感じたら、その焦りが自分の気持ちか、周りの声かを一度分けてみる。
  3. 協調性の高い人ほど相手に合わせすぎるので、お見合いでは自分の希望をひとつ先に伝える練習をする。
この研究の読み方の注意
対象はドイツの未婚独身者で、日本の状況にそのまま当てはまるとは限りません。要旨では世代ごとの違いは主な結論として示されておらず、学歴や性格との関係も相関で、原因を示すものではありません。

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解説:関口美奈子(恋愛心理研究家・作家)
のべ3万人以上の恋愛・婚活相談の現場から、海外の研究を日本の恋と婚活の言葉に翻訳しています。プロフィール

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