独身のままでも、人生の満足度は高いままだった
独身は「まだ途中」の状態だと思われがちです。けれど、データはそう語っていませんでした。
この研究でわかったこと
ドイツの一度も結婚したことのない独身者2,930人(18〜48歳・生まれ年の異なる複数の世代)を、2009/2010年から2020/2021年までの11年間追跡しました。多くの人の人生満足度は一貫して高く、比較的安定していました。一方、独身生活への満足度、性生活への満足度、パートナーを求める気持ちは人によるばらつきが大きく、その違いは主に出発時点の高さの差で、時間がたってもあまり変わりませんでした。幸福度が最も高いグループは学歴が高く、外向的で、フルタイムで働く人が多く、神経症傾向が低めでした。パートナーを最も強く求めるグループは、学歴が相対的に低めで協調性が高い傾向がありました。
- 論文
- 独身の時代:未婚の独身者の幸福度を世代をまたいで11年追った縦断研究
- 掲載誌・公開
- Personality and Social Psychology Bulletin(2026-08-21)
- 方法
- ドイツの未婚独身者2,930人の11年間の追跡データを、変化のパターン別に分類する分析
- 原典
- https://doi.org/10.1177/01461672261475727
関口美奈子の読み方
人生の教科書の多くは、結婚をゴールのひとつとして描いてきました。その教科書の外側にいる人は、どこか「まだ途中の人」として扱われてきた気がします。けれどこの研究で、11年間未婚のままだった人の多くは、人生全体への満足度が高く、しかも安定していました。独身は欠けた状態ではなく、ひとつの完成した暮らし方でもありうる、ということです。
ここで婚活中の方にお伝えしたいのは、焦りの正体です。独身でいると不幸になるから急がなければ、という感覚は、少なくともこのデータからは裏づけられていません。空いた席を急いで埋めるような空席婚活は、焦りが判断を急がせます。満ちた暮らしを持ったまま、そこに誰かを招き入れる婚活のほうが、相手を落ち着いて選べるはずです。
興味深いのは、パートナーを強く求める気持ちが、協調性の高さと結びついていたことです。人に寄り添う力のある人ほど、誰かと生きることを望んでいる。それは弱さではなく、関係を育てる才能の裏返しだと私は読みました。一方で、独身生活への満足度は人によって大きく違い、その差は年月がたってもあまり変わりませんでした。
だからこそ、独身の幸せも結婚の幸せも、ひとつの物差しでは測れません。社会が「結婚して一人前」という古い物差しを手放せば、結婚したい人は焦らずに選べ、しない人は堂々と暮らせる。婚活は、満ちた人どうしが出会うための場所であってほしいと思います。
明日からの一手
- 婚活の前に、いまの暮らしで満たされている時間を書き出し、相手にはそれを分け合いたいと考えてみる。
- 「独身だから急がないと」と感じたら、その焦りが自分の気持ちか、周りの声かを一度分けてみる。
- 協調性の高い人ほど相手に合わせすぎるので、お見合いでは自分の希望をひとつ先に伝える練習をする。
対象はドイツの未婚独身者で、日本の状況にそのまま当てはまるとは限りません。要旨では世代ごとの違いは主な結論として示されておらず、学歴や性格との関係も相関で、原因を示すものではありません。
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