結婚したい理由が「人の目」だと、目標は進みにくかった
婚活の行方を分けるのは、どれだけ結婚したいかより、なぜ結婚したいかなのかもしれません。
この研究でわかったこと
独身の成人4,019人に、パートナーを求める動機をたずね、約12,000件の自由記述の恋愛目標を41のテーマに分類しました。半年後には3,176人が目標の進み具合を報告しています。「楽しいから」「自分にとって大切だから」という動機は、楽しさや深い関わりといった関係の質を重視する目標と関連していました。一方、自己イメージへの気がかりからくる動機は、関係の質より「交際を始めること」を優先する目標や、自分を肯定してもらうための目標と結びつき、目標の進みも低めでした。そもそも動機がない人は恋愛を追わず、独身でいることに関する目標がよく進んでいました。
- 論文
- なぜパートナーが欲しいかは、何を求めるかを左右するか:自己決定理論から見た独身者の恋愛目標
- 掲載誌・公開
- Social Psychological and Personality Science(2026-08-05)
- 方法
- 独身の成人4,019人を半年後まで追った縦断調査(自由記述約12,000件を41テーマに分類)
- 原典
- https://doi.org/10.1177/19485506261472940
関口美奈子の読み方
婚活の現場で、条件もそろっていて行動量も十分なのに、なぜか話が前に進まない方がいます。この研究は、その理由のひとつを「動機の出どころ」に見ています。周りに置いていかれたくない、独身だと思われたくない。結婚を自分の看板として求める看板婚活は、相手と何を育てるかより「とにかく交際を始めること」が目標になりやすい、という結果でした。
看板婚活のつらいところは、相手が「私を認めてくれる装置」になってしまうことです。会うたびに自分の評価を確かめに行くので、相手を味わう余裕がなくなります。研究でも、見られ方を気にする動機は自己肯定を求める目標と結びつき、目標の進みも低めでした。努力が足りないのではなく、エネルギーの向き先が自分の看板に吸い取られているのだと思います。
反対に「一緒にいて楽しいから」「誰かと深く関わることが自分にとって大切だから」という動機の人は、楽しさや深い関わりといった関係の質を目標に置いていました。持てる人の婚活は、ここが出発点です。看板を掲げに行くのではなく、相手と過ごす時間そのものを楽しみに行く。その余裕は、会っている相手にもちゃんと伝わるはずです。
そしてもうひとつ大事なのは、恋愛を求めない人が独身でいる目標をきちんと進めていたことです。結婚したくない自分を責める必要はありません。「したい理由」を自分の言葉で言えるとき、婚活ははじめて自分のものになるのだと思います。
明日からの一手
- 「なぜ結婚したいか」を思いつくだけ書き出し、人の目が理由になっているものに印をつけてみる。
- お見合いや初デートのゴールを「交際に進むこと」ではなく「この人と過ごして楽しかったか」に置き換える。
- 相手に何を求めるかを、条件の欄だけでなく「一緒にどんな時間を過ごしたいか」の欄でも書いてみる。
動機と目標の関連を見た調査で、動機を変えれば婚活が進むという因果までは示していません。追跡期間は半年で、対象者の国や結婚相談所の利用有無は要旨からは読み取れません。