こんにちは。恋愛心理研究家の関口美奈子です。
結婚相談所で複数人と同時に仮交際をすることに、罪悪感を覚える方は少なくありません。
でも、断言します。同時進行は不誠実ではありません。
むしろ、一人に早く決めすぎることのほうが、のべ3万人以上を見てきた私からすれば危険信号です。
恋愛は「一途さ」が美徳とされてきました。
けれど婚活という、限られた時間で人生のパートナーを選ぶ場においては、比較検討は誠実さの一部です。
今日は、同時進行への罪悪感の正体と、後悔しない進め方についてお伝えします。
同時進行の罪悪感は「一途幻想」が生んでいる
結婚相談所で複数人と仮交際を始めると、多くの方が「これは不誠実なのではないか」と悩みます。相手に対して申し訳ない、二股のようで後ろめたい。そんな声を、私はこれまで数えきれないほど聞いてきました。
けれど、その罪悪感の正体を分解してみると、恋愛ドラマや小説が刷り込んだ「一途幻想」であることがほとんどです。一人に絞って想いを注ぐことこそ誠実、という思い込みは、自然な出会いを前提にした恋愛の作法であって、婚活という限られた時間の中で相性を見極める場には、そのままあてはまりません。
婚活は、恋に落ちてから相手を知るのではなく、知りながら気持ちを育てていくプロセスです。だとすれば、複数の相手を同時に知ろうとすることは、不誠実どころか、むしろ相手一人ひとりに真剣に向き合おうとする姿勢の表れだと、私は思っています。
実際に面談で「同時進行をやめて一人に絞るべきでしょうか」と尋ねられることがありますが、私はいつも問い返します。その一人に絞る理由は、相手への確信からくるものですか、それとも罪悪感から逃れたいだけですか、と。後者であれば、まだ判断を急ぐ段階ではありません。
なぜ結婚相談所は同時進行を勧めるのか
結婚相談所の多くが、仮交際の段階では複数人と並行して会うことを勧めます。理由はシンプルで、一人に早く気持ちを固定してしまうと、その人の欠点や違和感に目をつぶりやすくなるからです。
人は、時間や気持ちを注いだ相手ほど「これだけ関わったのだから」と後に引けなくなる心理を持っています。一人だけと向き合っていると、違和感があっても焦りから交際を続けてしまうことが少なくありません。複数人と並行して会うことは、この視野の狭まりを防ぐための、いわば安全装置なのです。
同時進行は「本気度が低い」ことの証ではなく、まだ見極めの段階にある、という事実を可視化しているだけです。仮交際から本交際に進むタイミングで一人に絞ればいいのであって、それまでは複数の相手を知ろうとすることの方が、誠実な判断につながります。
同時進行を続けることは、決して相手への裏切りではなく、結婚という重い決断を軽々しく扱わないための、誠実な慎重さなのだと捉え直してみてください。
『比較検討力』という、婚活で育つ誠実さ
複数人と同時に向き合いながら、自分の気持ちを整理していく。この「比較検討力」は、打算的な力ではありません。相手の良さを、他の誰かと比べることで初めて言語化できる、という側面が婚活にはあるからです。
例えば、Aさんと会って「話しやすい」と感じても、その感覚がAさん固有のものなのか、単に自分が緊張していなかっただけなのかは、一人だけと会っていては分かりません。Bさん、Cさんと会って初めて、「Aさんの話しやすさは、聞き方が丁寧だからだ」と輪郭がはっきりしてきます。
比較検討力が育つと、条件で相手を選ぶのではなく、「この人といると、自分がどうなれるか」という基準で選べるようになります。これは、目先の好き嫌いだけで交際相手を決めるよりも、ずっと誠実な選び方だと私は考えています。
比較検討力は、婚活だけでなく、人生の選択全般に生きる力でもあります。目の前の一つの選択肢だけを見て決めるのではなく、複数の可能性を並べてから選ぶ習慣は、結婚後の暮らしの中でも、あなたを助けてくれるはずです。
同時進行を『誠実に』進めるための3つの心得
同時進行そのものは問題ではありませんが、進め方を誤ると、相手にも自分にも負担をかけてしまいます。私が面談で毎回お伝えしている心得は3つです。
一つ目は、人数を欲張りすぎないこと。目安として2〜3人程度にとどめておくと、一人ひとりに向き合う集中力を保てます。二つ目は、相手からの質問に嘘をつかないこと。同時進行を隠す必要はありませんが、聞かれてもいないのに自分から詳細を伝える義理もありません。相談所の仲人やカウンセラーと相談しながら、進行状況を整理してもらうのも有効です。
三つ目は、気持ちが一人に傾いた時点で、他の交際に誠実な区切りをつけること。同時進行は「決めるまでの猶予期間」であって、ゴールではありません。気持ちが固まったら、速やかに絞り込む決断力もまた、誠実さの一部です。
これらの心得を守っていれば、同時進行は決して不誠実な行為にはなりません。むしろ、一人ひとりの時間を大切に扱おうとする姿勢そのものです。
同時進行の作法:人数、配分、そして一人に絞るとき
心得を、もう一段具体的にしておきます。同時進行で問われるのは、何人と会っているかではなく、一人ひとりに何を返せているかです。
誠実さの線は、人数ではなく「返せる質」に引く
同時進行が不誠実になるのは、人数が多いときではありません。相手から受け取ったものに、見合うものを返せなくなったときです。前回話したことを覚えていない。返信が定型文になる。デートの日程が、いつも「空いたところに入れる」扱いになる。こうしたほころびは、相手には驚くほど伝わります。人数を数えるより、「この人に、今週きちんと返せているか」を点検してください。その点検が回らなくなった人数が、あなたにとっての上限です。成婚者の交際人数の中央値や、「何人まで」の考え方は仮交際は何人まで?平均・何人目で結婚かにまとめています。
もう一つの線は、嘘です。同時進行そのものを隠す必要はありませんが、「ほかに会っている人はいない」と言えば、それは嘘になります。そして、デートの場でほかのお相手の話題を出さないこと。比べているのは事実でも、比べられていると感じさせないのは、礼儀の問題です。
連絡とデートは「均等」ではなく「確かめたいこと」で配る
同時進行中の配分で、多くの方が「全員に同じだけ」を目指して疲れてしまいます。けれど、均等に配ることが誠実なのではありません。一人ひとりについて、次に確かめたいことは何かを決め、その答えが得られる会い方を選ぶほうが、相手の時間を大切に扱えます。価値観を確かめたい人とは、ゆっくり話せる食事を。自然体でいられるかを見たい人とは、少し歩く日中のデートを。
実務の工夫も三つあります。一日に会うのは一人までにすること。印象が混ざり、どちらにも失礼になるからです。やりとりの中身を、相手ごとに短くメモしておくこと。そして、返信の速さや会いたい気持ちに差がつき始めたら、それを見逃さないこと。仮交際の分散は、気持ちを散らすためではなく、気持ちの偏りを見つけるためにあります。差が出てきたら、それが一人に絞る準備が整ってきた合図です。
真剣交際に進んだら、ほかのお相手とは交際終了
同時進行は、いつまで続けるのか。答えは、真剣交際に進むまでです。IBJの公式ブログでは、真剣交際に移行すると、他の会員との交際や、相談所からの紹介・お相手検索はすべて停止となり、交際中のお相手やお見合いが決まっているお相手には、相談所を通じて交際終了やキャンセルが伝えられる、と説明されています(出典:IBJ「結婚相談所の真剣交際とは?」・2024年11月21日投稿・2026年9月確認)。つまり、真剣交際は一人に絞るのがIBJでの前提です。
ここで大切なのは、お断りを自分で直接伝えようとしないこと。相談所には、相手の気持ちに配慮して終わりを伝える仕組みがあります。自分でしなくていいことを、罪悪感から抱え込まない。それも、同時進行を誠実に終える作法の一つです。細かな手順は加盟している相談所によって異なることもあるので、進む前に担当カウンセラーと確認しておきましょう。
まとめ:同時進行は『誠実な比較』であり、迷う自分を責めなくていい
婚活での同時進行に罪悪感を抱くのは、あなたが誠実な人だからです。ただ、その誠実さは「一人だけに向き合うこと」ではなく、「後悔のない選択をするために、きちんと相手を見極めること」に向けた方がいい。
比較検討は不誠実な行為ではなく、結婚という大きな決断の前に、自分の気持ちを丁寧に確かめる誠実なプロセスです。罪悪感に足を止めるより、その時間を使って、自分がどんな関係を築きたいのか、輪郭をはっきりさせていってください。
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