心理学

基本的帰属の
誤りとは

関口美奈子

基本的帰属の誤りとは、相手の行動の原因を、その人の性格や人柄のせいだと決めつけ、そのとき置かれていた状況の影響を見落としてしまう心理です。目に見える人の姿は分かりやすく、目に見えない事情は想像しにくいために起こります。

こんにちは。恋愛心理研究家の関口美奈子です。
返信が、いつもより遅い。それだけのことなのに、心の中では「冷めたのかもしれない」「そういう不誠実な人だったのかも」と、話がどんどん先に進んでいく。そんな夜を、過ごしたことはありませんか。この決めつけの正体が、「基本的帰属の誤り」と呼ばれる心理です。
今日は、なぜ人は相手の性格ばかりを疑ってしまうのか、そして関係が長続きする人が持っている、解釈のクセについてお話しします。

基本的帰属の誤りとは

基本的帰属の誤りとは、相手の行動の原因を、その人の性格や人柄のせいだと決めつけ、状況の影響を見落としてしまう心理です。心理学では、行動の原因をどこに置くかを「帰属」と呼びます。その帰属先が、人の内側に偏りやすい。だから「誤り」という名前がついています。

約束の時間に遅れてきた人がいたとします。私たちの頭に最初に浮かぶのは、「時間にルーズな人なんだな」という人柄の話です。電車が止まっていたかもしれない、直前に急ぎの用件が入ったかもしれない。そうした状況は、その場に姿を現さないので、思い浮かべる前に結論が出てしまうのです。目の前にいる人は見えるけれど、その人の背後にある事情は、見えません。私たちは、見えたものだけで物語を作ってしまう生きものなんですね。

「返信が遅い=冷めた」の、危うさ

恋愛の場面で、この誤りがいちばん働きやすいのが、連絡のやり取りだと思います。

返信が遅い。既読がつかない。デートの誘いに、少し間が空く。どれも、それ自体は情報の少ない出来事です。ところが私たちは、そこに相手の気持ちという壮大な物語を、勝手に書き込んでしまう。「もう気持ちが冷めた」「私を優先していない」「もともと誠実じゃない人だった」。そして厄介なことに、いったんそう解釈すると、その後のすべての出来事が、その説を裏づける材料に見えてきます。この仕組みについては、確証バイアスとはのコラムでお話ししていますので、あわせて読んでみてください。

私は、これを「決めつけの前借り」と呼んでいます。まだ起きていない結末を、先に借りてきて、今の自分を苦しめてしまう。そして苦しくなった心は、そっけない返信や、試すような一言になって外に出ます。すると相手も距離を取る。疑いは、疑ったとおりの現実を作る力を持っているのです。

自分には甘く、相手には厳しくなる仕組み

面白いのは、この誤りが、自分に対しては起きにくいということです。

自分が返信を遅らせたときには、理由がすぐ出てきます。仕事が立て込んでいた、疲れて寝てしまった、いい返事が思い浮かばなかった。自分の事情は、自分だけが知っているからです。ところが相手が同じことをすると、事情が見えないぶん、性格の問題として片づけてしまう。これは、あなたが身勝手だからではありません。持っている情報の量が、そもそも違うのです。

だからこそ、相手を裁きそうになったときには、こう問い直してみてください。「もし自分が同じことをしたら、どんな理由を挙げるだろう」。その理由が、相手にもある可能性を、たいていの人は思いつきもしないまま、結論を出しています。

長続きする人は「解釈の幅」を持っている

のべ3万人以上の男女と向き合ってきて、関係が長く続く人には、共通するクセがあると感じています。それは、性格がいいとか、我慢強いとか、そういうことではありません。ひとつの出来事に対して、解釈をふたつ以上持てるということです。

返信が遅い。その事実に対して、「冷めた」という説と、「今週は仕事が山場だと言っていた」という説を、両方、机の上に並べておける。どちらか一方に飛びつかず、事実が出そろうまで、結論を保留できる。私はこれを、「解釈の幅」と呼んでいます。幅がある人は、うまく揺れます。幅がない人は、一発で折れます。

そして、それでも気になるときには、確かめる。「最近、連絡が少なくて、ちょっと寂しかった」と、自分の気持ちだけを短く伝える。相手の人格を裁く言い方をしないことが、大事なところです。相手の課題と自分の課題を切り分ける考え方は、アドラー心理学の「課題の分離」のコラムでも紹介しています。

まとめ:解釈が変われば、関係が変わります

基本的帰属の誤りは、相手の行動を性格のせいにして、状況を見落としてしまう心理でした。私たちは、相手の背後にある事情が見えないまま、見えたものだけで人を判断してしまいます。

けれど、出来事そのものは、まだ何も言っていません。意味を与えているのは、いつも解釈のほうです。相手を変えることはできなくても、解釈の幅を広げることは、今日からできる。そして幅のある人のそばは、居心地がいいものです。裁かれない安心があるところに、人は戻ってきます。返信が遅い夜には、結論を出す前に、もうひとつの説を思い浮かべてみてくださいね。
こうした心理学を、人間関係やコミュニケーションに活かすお話は、講演でもお伝えしています。ご関心のある方は、よければお気軽にご相談ください。

もっと恋愛心理やモテる秘訣、魅力を高める方法を知りたい方は、こちらへ。
YouTube「モテ男TV」で、恋愛・結婚・男磨きのヒントを動画で発信しています。

▶ モテ男TV(YouTube)を見る

よくある質問

基本的帰属の誤りとは何ですか?
相手の行動の原因を、その人の性格や人柄のせいだと決めつけ、そのとき置かれていた状況の影響を見落としてしまう心理です。目に見える人の姿は分かりやすく、目に見えない事情は想像しにくいために起こります。
なぜ自分には甘く、相手には厳しくなるのですか?
自分の事情は自分だけが知っているからです。自分が遅れたときは、忙しかったという状況が思い浮かびます。相手が遅れたときには、その人の事情が見えないため、性格の問題として片づけてしまいます。立場の違いではなく、見えている情報の量の違いです。
返信が遅い相手を、冷めたと決めつけないためには?
結論を出す前に、状況の説明をひとつ思い浮かべる習慣が役に立ちます。仕事が立て込んでいる、体調が優れないなど、性格以外の理由を考えてみる。それでも気になるときは、責める形ではなく、自分がどう感じたかを短く伝えて、事実を確かめるのがおすすめです。

関連ページ

← コラム一覧 恋愛心理学の用語辞典 確証バイアスとは アドラー心理学「課題の分離」とは