こんにちは。恋愛心理研究家の関口美奈子です。
結婚相談所の入会金やマッチングアプリの課金に、手が止まった経験はありませんか。
それは意志が弱いからでも、お金に余裕がないからでもありません。
行動経済学でいう「メンタルアカウンティング」、つまり心が勝手にお金を分類している財布の仕組みのせいです。
同じ1万円でも、どの財布から出すかで「使ってもいい感覚」はまったく変わります。
のべ3万人以上の方と面談してきて感じるのは、婚活がうまくいく人ほど、この財布の仕組みを知っていて、自分の都合よく使いこなしているということです。
反対に、婚活が長引く方ほど、この財布の線引きに縛られて、せっかくの縁の機会にブレーキをかけてしまっています。
メンタルアカウンティングとは|同じお金に値札がつく心理
メンタルアカウンティングは、行動経済学者リチャード・セイラーが提唱した考え方です。人はお金をひとつの財布として管理しているわけではなく、出所や用途ごとに頭の中でいくつもの財布に分けて、それぞれに別の「使っていい基準」をつけています。会計上はひとつの口座にまとまっているお金でも、心の中では細かく仕切られているのです。
たとえば臨時のボーナスで入った3万円は気軽に飲み会や買い物に使えるのに、毎月の給料から同じ3万円を切り崩すとなると、途端に慎重になる人は多いはずです。お金としての価値はまったく同じなのに、心の中では「臨時収入の財布」と「生活費の財布」として別物に扱われているからです。宝くじの当選金をすぐに使ってしまう人が多いのも、同じ仕組みで説明がつきます。
この仕組みは婚活にもそのまま当てはまります。同じ3万円でも、洋服や資格取得に使うときはすんなり財布を開けられるのに、婚活サービスに使おうとすると急にブレーキがかかる。これは節約家だからではなく、婚活という出費が頭の中でどの財布に分類されているかの問題なのです。面談の場で「なぜこの金額だけ迷うのか」とご本人が首をかしげる場面を、私はこれまで何度も見てきました。
なぜ婚活費用は「無駄遣いの財布」に入れられやすいのか
結婚相談所の説明会で金額を聞いた瞬間に表情がこわばる方を、これまで何度も見てきました。決して高額すぎるわけではなく、むしろ他の自己投資と比べれば妥当な金額であることも多いのに、です。パンフレットを閉じて「少し考えます」と席を立つ姿には、お金そのものへの抵抗というより、別の種類のためらいがにじんでいます。
理由のひとつは、婚活費用が「結果の見えない投資」として扱われやすいことにあります。英会話スクールや資格取得なら、学んだ分だけ力がつくという実感があります。ところが婚活は、同じ金額を払っても出会える保証はありません。マッチングアプリに疲れた理由にも通じる話ですが、不確実なものにお金を出すとき、人の心はとりわけ厳しい値札をつけます。先の見えない投資には、通常よりも高いハードルを自分の中に設けてしまうのです。
さらに、恋愛や結婚にお金をかけること自体への後ろめたさも重なります。「本来は自然に出会うもの」という思い込みが根強いぶん、お金で出会いの機会を買うという行為が、まるで反則であるかのように感じられてしまう。親世代の「お見合いは恥ずかしいもの」という価値観を、無意識に引き継いでいる方も少なくありません。これもまた、婚活費用が浪費の財布に押し込められる大きな要因です。
同じ2万円でも、払う財布が違えば痛みが違う
友人との飲み会で2万円を使うのはためらわないのに、婚活パーティーの参加費2万円には「高い」と感じる。この感覚のずれは、金額の大小ではなく、心の中でどの財布から払っているかの違いから生まれます。領収書を見比べれば、同じ数字が並んでいるだけなのに、受け止め方はまるで別物です。
飲み会代は「交際費の財布」から出ているぶん寛容に扱われ、婚活費用は「浪費かもしれない財布」から出ているぶん厳しくチェックされる。自己投資は何にすべきかという問いも、結局はこの財布の分類をどう組み替えるかという話に行き着きます。ジムの月会費やエステ代には抵抗なく払えるのに、婚活サービスだけ別枠で厳しく見てしまう方は、実は少なくありません。
面白いのは、この財布の線引きは人によってまったく違うということです。洋服には惜しみなく使えるのに外食は切り詰める人もいれば、その逆の人もいます。つまり財布の境界線は、客観的な正しさではなく、その人の価値観が決めているだけの、動かせるものなのです。境界線が動かせるという事実を知るだけでも、婚活費用への見方は少し軽くなります。
「縁の予算」として、財布のラベルを貼り直す
ここで提案したいのは、婚活費用を「浪費の財布」から「縁の予算」という財布に移動させることです。名前を変えるだけと思われるかもしれませんが、ラベルが変わると使いやすさは驚くほど変わります。実際、財布に貼るシールの色を変えるだけで支出の心理的な痛みが和らぐという実験結果もあるほど、ラベルの力は侮れません。
具体的には、年間でいくらまでなら使うと先に枠を決めてしまう方法が効果的です。結婚相談所の費用の目安を知った上で、その金額を「今年の縁の予算」として最初から確保しておけば、使うたびに罪悪感と戦う必要がなくなります。スキンケアや洋服に月々決まった予算を使うのと同じ感覚で、縁にも予算をつけてしまう。旅行の積立をするような感覚で、縁の積立と考えてみるのも一つの方法です。
実際に成婚退会まで進んだ方の多くは、途中からこの発想に切り替えています。最初は「無駄になったらどうしよう」と財布を固く閉じていた人が、あるタイミングで「これは自分への投資」と財布を貼り替えた瞬間、サービスの使い方も前向きに変わっていきました。お見合いのセッティングやプロフィール相談にも積極的になり、結果として出会いの質そのものが変わっていったのです。
まとめ:心の財布は、自分で動かせる
メンタルアカウンティングは、お金そのものの価値を変えるわけではありません。ただ、心がどのラベルを貼るかで、同じ金額の使いやすさがまったく違って見えてくる。それだけの、しかし見過ごせない仕組みです。財布の仕切りは生まれつきのものではなく、後からいくらでも組み替えられます。
婚活にお金を使うことへの抵抗感は、あなたの意志の弱さでも贅沢でもなく、財布の分類がたまたま厳しい側に寄っていただけかもしれません。だとしたら、分類を変えればいいだけの話です。一度ラベルを貼り替えてしまえば、同じ金額でも心の負担は驚くほど軽くなります。
どこにいくら使うのが縁の予算として妥当なのか、一人で判断しきれないときは、エースブライダルの無料相談でも費用の内訳や使い道を一緒に整理しています。財布の中身を見直すところから、婚活は静かに動き出します。
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