性の悩み

性的なことが
したくないとき

関口美奈子

こんにちは。恋愛心理研究家の関口美奈子です。
「性的なことが、どうも苦手」「正直、性欲というものが、あまりない」。そう感じて、「自分は、どこかおかしいのでは」「人として、欠けているのでは」と、ひそかに自分を責めている方。実は、少なくありません。世の中が「性に積極的なのが普通」という空気だからこそ、よけいに、言い出せず、苦しくなる。
でも、まずお伝えします。その自分を、責めなくて、いいんです。今日は、その背景と、向き合い方をお話しします。

性への関心には、大きな個人差がある

まず、知っておいてほしい、大切なこと。性への関心の強さには、とても大きな個人差があります。そして、関心が薄いことも、自然なあり方の一つです。

性に積極的なことだけが「正しい」わけでは、ありません。もともと、性的な惹かれを持ちにくい人もいます。それは、欠けているのではなく、その人らしさの一つ。世の中の「普通」とされるイメージは、あくまで一部であって、すべての人に当てはまるものではありません。だから、「みんなと違う」ことを理由に、自分を異常だと、思わないでください。あなたは、あなたのままで、いいんです。

背景には、いろいろなものがある

一方で、「以前はそうでもなかったのに」という場合は、何かが背景にあることもあります。それを知っておくのも、大切です。

強いストレスや、疲れ。心や体の、不調。過去の、つらい経験。こうしたものが、性への気持ちに、影響していることがあります。原因は、人それぞれ。どれも、あなたが悪いわけでは、ありません。そして、もし体調の変化が気になったり、つらさが続いたりするなら、一人で抱えず、医療機関などの専門家に相談するのも、よい選択です。それは、弱さではなく、自分を大切にする行動です。

「しなければ」で、自分を追い込まない

パートナーがいる方は、とくに「応えなければ」と、自分を追い込みがちです。でも、無理をして、自分をすり減らす必要は、ありません。

ここで思い出してほしいのが、性的同意の考え方です。性は、義務ではなく、お互いが心から望むときに、尊重し合うもの。「応えられない自分は、失格だ」と責める必要は、ないんです。そして、性だけが、愛情表現ではありません。手をつなぐ、ハグする、言葉で愛情を伝える。親密さの形は、たくさんあります。性に偏らず、二人の心地よい形を探していい。それも、立派な愛のかたちです。

正直に伝えることが、関係を守る

では、パートナーと、どう向き合えばいいか。鍵は、やはり、正直に、気持ちを伝えることです。我慢して笑っていると、すれ違いが深まります。

「あなたが嫌なわけじゃない」「今は、こういう状態なの」。そう、責めるのでも、突き放すのでもなく、自分の状態を、やさしく言葉にする。それができれば、相手も理解し、二人で歩み寄れます。黙って無理を重ねるより、正直な対話のほうが、ずっと関係を守ります。一人で抱え込まないこと。それが、何より大切です。

女性の性欲と結婚:『ない』も『ある』も、責めなくていい

婚活をしている女性から、ときどき、声をひそめるようにして聞かれることがあります。「性欲がない私が、結婚してもいいのでしょうか」。

答えは、結婚していいのです。結婚は、性の約束である前に、暮らしと人生を分かち合う約束です。ただし、性のことは相手にとっても大切なテーマ。だからこそ隠すのではなく、誠実に共有したうえで、同じ景色を見られる相手を選ぶことが大切になります。

そして、反対の悩みを抱えている女性もいます。性欲があることを、恥ずかしいと感じてしまう方です。「女性がそういうことを望むのは、はしたない」。そんな古い物差しを、どこかで受け取ってきたのかもしれません。でも、望む気持ちがあることも、ないことと同じように自然なこと。自分の望みを言葉にできる女性は、関係を対等に保てる女性です。『ない』も『ある』も、どちらも恥ではありません。

結婚前に伝えるときは、順番を大切にしてください。まず、真剣交際に入り、信頼が育っていること。次に、住まいや仕事、お金のことなど、結婚後の暮らしの価値観を話し合う流れの中で、同じテーブルに載せること。性の話だけを切り出すと身構えさせてしまいますが、暮らしの話の一つとして出せば、相手も落ち着いて受け止められます。言葉は、たとえばこんなふうに。

「私は、そういうことへの関心があまり強くないほうなんです。あなたはどう考えているか、聞かせてもらえますか。二人にとって心地よい形を、一緒に考えたくて」
「私にとって、ふれあうことは大事な愛情表現なんです。あなたにとってはどうですか」

大切なのは、自分の状態を事実として伝え、すぐに相手の考えを聞くこと。答えを押しつけず、問いを手渡すことです。

そのうえで、覚えておいてほしい発想があります。性の温度は、努力で揃えるものではなく、はじめから近い人と出会うものだということ。結婚してから相手を変えようとするより、価値観の近い相手を探すほうが、誰も我慢しなくてすみます。話してみて「合わない」とわかることは、失敗ではありません。それは、合う相手へ向かう、いちばんの近道です。パートナーとの温度差については、性欲の差に悩んだときもあわせて読んでみてください。

まとめ:あなたのあり方を、否定しない

性的なことが苦手だったり、性欲が薄かったりするのは、おかしなことでも、欠けていることでもありません。性への関心は、人それぞれ。まず、その自分を、責めるのを、やめてください。

もし背景に不調があるなら、専門家を頼っていい。パートナーには、無理をせず、正直に気持ちを伝える。そして、性だけにとらわれず、二人の心地よい親密さを探していく。あなたのあり方を、あなた自身が、否定しないこと。それが、いちばん大切です。世間の「普通」に、自分を合わせなくて、いいんですよ。
誰にも言えずに抱えているなら、よければ一度ご相談ください。あなたの気持ちを、否定したりはしません。

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よくある質問

性欲がない・性的なことをしたくないのは、異常ですか?
異常ではありません。性への関心の強さには大きな個人差があり、もともと関心が薄い人もいます。性に積極的であることだけが正しい、ということはありません。性的な惹かれを持ちにくいあり方も、その人らしさのひとつとして尊重されるべきものです。
性的なことが苦手になる背景には、何がありますか?
もともとの性質のほか、強いストレスや疲れ、心身の不調、過去のつらい経験などが背景にあることもあります。原因はさまざまで、自分を責める必要はありません。気になる場合や、体調の変化を感じる場合は、医療機関などの専門家に相談することも選択肢です。
パートナーがいる場合、どう向き合えばいいですか?
無理に応えようとして自分を追い込まないことが大切です。性だけが愛情表現ではありません。自分の気持ちや状態を正直に伝え、スキンシップなど別の形での親密さを一緒に探していくこと。お互いを尊重し合える話し合いが支えになります。
性欲がない女性でも、結婚していいのでしょうか?
結婚していいのです。結婚は、性の約束である前に、暮らしと人生を分かち合う約束です。ただし性のことは相手にとっても大切なテーマなので、隠すのではなく、真剣交際で信頼が育ってから誠実に共有し、価値観の近い相手を選ぶことが大切です。
性のことは、結婚前にどんな順番で伝えればいいですか?
まず真剣交際に入り、信頼が育っていること。次に、住まいや仕事、お金など結婚後の暮らしの価値観を話し合う流れの中で、同じテーブルに載せることです。「私は、そういうことへの関心があまり強くないほうなんです。あなたはどう考えているか、聞かせてもらえますか」のように、自分の状態を事実として伝え、相手の考えを聞くのがおすすめです。

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