お金の話は、回数を増やしても仲は深まらなかった
結婚前にお金の話をたくさんしておけば安心。実は、大事なのは回数ではありませんでした。
この研究でわかったこと
カップル136組の双方に、ひと月のあいだのお金に関する会話と関係満足度を報告してもらいました。もともと満足度が高いカップルほど、お金の話を頻繁に、質よくしていると感じていて、この傾向は女性で特に強く見られました。その月のお金の会話の質は、最初の満足度を考慮しても、月末の本人と相手の満足度と関連していました。一方、回数の多さには同じような良い関連は見られませんでした。世帯収入や二人の収入差は結果を左右しませんでしたが、家計を完全にひとつにしているカップルでは質と満足度の結びつきがより強くなっていました。
- 論文
- 量より質か:カップルのお金の会話と関係満足度
- 掲載誌・公開
- Journal of Social and Personal Relationships(2026-09-06)
- 方法
- カップル136組の双方がひと月のお金の会話と満足度を報告した調査
- 原典
- https://doi.org/10.1177/02654075261484793
関口美奈子の読み方
婚活のご相談で「お金の話はいつ、どれくらいすればいいですか」とよく聞かれます。この研究の答えは、回数より質でした。何度も確認し合えば安心できるわけではなく、どんな空気でお金を話せたかのほうが、その後の二人の満足度と関連していたのです。
これは、財布の対話力の問題だと思います。財布の対話力とは、数字を詰める力ではなく、お金という緊張しやすい話題を、責めず隠さず話せる力のことです。年収や貯金額は条件として見えますが、財布の対話力は条件表には載りません。交際中にこそ見ておきたい、結婚後の暮らしを左右する見えない条件だと思います。
もうひとつ見逃せないのが回数の扱いです。お金の不安を感じている人では、話す回数の多さが満足度と良い方向に結びついていましたが、不安のない人ではむしろ逆の関連でした。心配のない相手に何度もお金の確認をすると、信頼されていないと受け取られるのかもしれません。必要なときに、必要なだけ。それが持てる人の距離感です。
そして、満足度の高いカップルほどお金の話を良いものとして感じていました。仲が良いから話せる、話せるから仲が深まる。その循環の入口は、結婚前の何気ない一回の会話の質にあるのだと思います。
明日からの一手
- 交際中にお金の話をするときは、金額を聞く前に「お金で大事にしたいこと」をお互いに話してみる。
- 相手にお金の不安がなさそうなら、同じ確認を何度も繰り返さず、一度の会話を丁寧にする。
- 結婚後に家計をどう分けるかを、正解探しではなく二人の好みの確認として話題にしてみる。
期間はひと月と短く、関連を見た研究で因果は示していません。対象が交際中か結婚後かや国は要旨からは読み取れず、婚活中の二人にそのまま当てはまるとは限りません。