世界の恋愛研究ノート関口美奈子 公式サイト
恋愛心理2026-10-09

恋人がいない時間は、待合室ではない

恋人がいない時間は、誰かを待つための待合室ではありません。いちばん自分が広がる時期かもしれません。

この研究でわかったこと

恋人がいない時期が、自分を広げる(自己拡張する)機会になるかを調べた研究です。独身の時間に自己拡張の可能性を感じている人ほど、新しい体験や独身生活への満足、心理的な欲求の充足、人生の満足が高く、独り身でいることへの恐れが低いという関連がありました。その自己拡張は、恋愛以外の近しい人との間で主に起きていました。また、独身の時間で新しい活動ができると想像した人は、可能性の感じ方こそ変わらなかったものの、自己拡張の体験と前向きな気分が高まっていました。

論文
ひとりで走る:独身期の自己拡張の可能性、自己拡張体験と独身生活の満足の関連
Riding Solo: The Associations Between Singlehood Self-Expansion Potential, Self-Expansion Experiences, and Singlehood Outcomes
掲載誌・公開
Personality and Social Psychology Bulletin(2026-08-06)
方法
事前登録された三研究(日記調査二つと想像課題の実験)
原典
https://doi.org/10.1177/01461672261462978

関口美奈子の読み方

婚活を始めると、恋人がいない時間を早く終わらせたい空白のように感じてしまうことがありますよね。でもこの研究は、その時間を広がりの機会と見られる人ほど、独り身への恐れが小さかったことを示していました。

恋人がいない時期には、独り身の伸びしろがあります。誰かに合わせる必要がない時期だからこそ、行ったことのない場所に行き、触れたことのない世界を知れる。しかもその広がりの多くは、恋人ではなく友人や家族など近しい人と一緒に起きていたのです。恋愛だけが人を育てるわけではないのですね。友人と過ごす時間を後回しにしないことも、立派な自分磨きです。

婚活の場で人を惹きつけるのは、焦りではなく、満ちている人の余裕です。独り身への恐れが強いと、相手を見る目より「早く決めたい」が先に立ってしまう。広がっている人は、相手に自分の欠けを埋めてもらおうとしないぶん、相手そのものを見られます。新しい活動を想像しただけで気分が前向きになったという結果も、焦りの中にいる人にとって小さな希望になるはずです。

持てる人とは、ひとりの時間も豊かにできる人だと思います。待合室で呼ばれるのを待つのではなく、自分の旅を続けている。その途中で出会った人とだからこそ、対等な関係が育つはずです。

明日からの一手

  1. 今月、ひとりの時間に初めての体験を一つ予定に入れる。行ったことのない街、習い事の体験会など、小さな新しさで十分です。
  2. 新しい体験は恋愛以外の近しい人と分かち合う。友人を誘って出かけるだけでも、自分を広げる時間になります。
  3. 婚活で焦りを感じたら、独身の今だからできることを書き出してみる。想像するだけでも、気分が前向きに動きやすくなります。
この研究の読み方の注意
日記調査は関連を見たもので、可能性を感じるから満足するのか、その逆なのかは決められません。想像の実験も可能性の感じ方自体は変えておらず、効果はその場の気分や体験の範囲にとどまります。

研究を、明日の会話に変える

恋愛相談、婚活相談はこちらから

あわせて読みたいコラム

解説:関口美奈子(恋愛心理研究家・作家)
のべ3万人以上の恋愛・婚活相談の現場から、海外の研究を日本の恋と婚活の言葉に翻訳しています。プロフィール

ほかの研究ノート