既読スルーした側も、実は痛んでいる
返信しない人は平気な顔をしている。そう思っていませんか。黙った側にも、痛みは残っています。
この研究でわかったこと
説明なしに急に返信をやめる「ゴースティング」について、された側ではなく、した側の気持ちを調べた研究です。実際の経験を思い出す調査、想像の場面、その場でのやり取りという三つの方法で確かめたところ、された側は、相手が自分を無視したことをどれほど気に病んでいるかを小さく見積もっていました。この見積もりの差は、うっかり返し忘れた場合に大きく、本人が無視しているつもりがない場合や「ごめん、今話せない」のような短い返事を送った場合には小さくなっていました。
- 論文
- ゴースティングの痛み?人は会話相手が返信しないことをどれほど気に病んでいるかを過小評価する
- 掲載誌・公開
- Personality and Social Psychology Bulletin(2026-08-31)
- 方法
- 回想調査(N = 195)、想像場面の調査(N = 601)、実際のやり取りでの実験(N = 350)の三研究
- 原典
- https://doi.org/10.1177/01461672261478732
関口美奈子の読み方
既読のまま止まった画面を見て「軽く扱われた」と結論を出してしまう。恋愛でも婚活でも、いちばん心を削るのはこの瞬間かもしれませんね。でもこの研究が照らしたのは、画面の向こう側でした。黙った人もまた、気まずさを抱えたまま日を過ごしているようなのです。
返さなかった一通は、送らなかった側の心にも、沈黙の負債として小さく積もっていきます。しかも時間がたつほど返しにくくなり、借りは膨らむ。だから既読スルーの多くは、冷たさというより、返済の機会を逃した人の不器用さだったりするのです。恋の終わりに見える沈黙の多くは、実は終わらせ方を見失った沈黙なのかもしれません。
そしてこの研究のいちばんの救いは、短い返事ひとつで食い違いが和らぐという点です。長文の言い訳も、完璧な説明もいらない。「ごめん、今バタバタしてて」の一行は、相手のためだけでなく、自分の心に負債を残さないための一行でもあります。うっかり返し忘れたときほど、相手は痛みを小さく見積もっていたという点も覚えておきたいところです。
持てる人は、返信の速さで愛情を測りません。相手が黙ったときは負債を抱えた人だと想像する余裕を持ち、自分が忙しいときは短くても先に返す。その両方ができる人のまわりには、自然と安心感が集まっていくはずです。
明日からの一手
- 返せない日は「ごめん、今日は返せそうにない」とだけ先に送る。長い返事より、短い一行を早く届けるほうが関係を守ります。
- 既読のまま止まったら、すぐに「嫌われた」と決めつけない。相手も気まずさを抱えているかもしれないと、一晩置いて考えてみる。
- 婚活でお断りするときも、黙って消えずにひと言の終わりの挨拶を送る。相手のためであり、自分の心に借りを残さないためでもあります。
要旨には恋愛や婚活に限った研究だとは書かれておらず、オンラインのやり取り全般が対象です。痛みの程度を比べたのも本人の申告によるもので、恋人同士の連絡にそのまま当てはまるとは限りません。