こんにちは。恋愛心理研究家の関口美奈子です。
「もうこれだけ会ってきたんだから、そろそろいい人に出会えるはず」
婚活中、そう思ったことはありませんか。
実はその感覚、ギャンブラーの誤謬という心理の罠そのものです。
コインが9回連続で表なら、10回目は裏が出やすい気がしてしまう。けれど確率は毎回五分五分のまま、前の結果とは無関係です。
婚活も同じで、出会いは一回ごとが独立した試行。「そろそろ」は慰めにはなっても、根拠にはなりません。
のべ3万人以上を見てきた立場から、この誤謬が婚活のやる気をどう狂わせるか、そしてどう付き合えばいいかをお伝えします。
「そろそろ出会えるはず」という思考のクセ
ギャンブラーの誤謬とは、ランダムな出来事に「流れ」や「順番」を見出してしまう心理のことです。ルーレットで黒が続けば、次こそ赤だと思う。サイコロで同じ目が続けば、そろそろ別の目が出ると感じる。けれど実際には、次の一回がどちらに転ぶ確率も、前の結果に左右されません。確率には記憶がないのに、人間の脳には記憶があるので、そこにズレが生まれます。
婚活の現場でも、まったく同じ声をよく聞きます。「お見合いを10回したのに全部ダメだった、さすがに次はいい人のはず」「マッチングアプリで既読スルーが続いているから、そろそろ返事が来るはず」。会員さんと面談していると、こうした言葉が本当によく出てきます。気持ちはとてもよく分かります。頑張った分だけ、何かが報われてほしいと思うのは自然なことです。
ただし出会いの一回一回は、前の出会いとは関係のない、まったく新しい試行です。10回連続でうまくいかなかったことは、11回目がうまくいく確率を一切上げてくれません。これは冷たい事実に聞こえるかもしれませんが、実は裏を返せば、過去の連敗があなたの価値を下げているわけでもない、ということでもあります。
確率貯金という錯覚に、私自身もはまった
恥ずかしい話をひとつさせてください。エースブライダルを始めたばかりの頃、私自身もカウンセラーとしてこの罠にはまっていました。ある会員さんが仮交際で立て続けにお断りを受けていた時期、私は「ここまで頑張ったんだから、次はきっと大丈夫」と励まし続けていたのです。まるで彼女がどこかに確率貯金をしていて、いつか払い戻されるかのように。
けれど現実は、貯金の払い戻しのようには動きませんでした。彼女に必要だったのは「そろそろ報われる」という慰めではなく、プロフィールの書き方や、会話の中での間の取り方を具体的に見直すことだったのです。励ましで気持ちを支えることと、根拠のない期待を持たせることは、似ているようでまったく違います。私はその違いを、申し訳ないことに彼女との面談の中で学びました。
この経験から、私は会員さんに「次はきっと」とは安易に言わなくなりました。代わりに「今回の出会いから、次に活かせる具体的な一つは何か」を一緒に探すようにしています。確率ではなく、準備の質を積み上げる方が、よほど確実に結果に近づくからです。
出会いは毎回が独立試行である
心理学でいう独立試行とは、ある出来事の結果が次の出来事の確率にまったく影響しない、という意味です。コイン投げもサイコロも、そして婚活における一人ひとりとの出会いも、本質的には独立試行に近いものです。相手の性格も、タイミングも、その日の体調も、すべてが毎回まったく違う条件の中で起きています。
この視点を忘れると、婚活は実力ではなく運のゲームのように感じられてしまいます。実際、楽観バイアスとは|婚活の『そのうち』の罠でも触れたように、人は都合のいい未来を先に信じてしまう性質を持っています。ギャンブラーの誤謬は、その楽観が崩れた反動として「そろそろ埋め合わせが来るはず」という形で現れることもあります。どちらも根っこは同じで、確率を自分の都合のいいように読み替えてしまう心のクセです。
さらに厄介なのは、この思い込みが行動の見積もりまで狂わせることです。計画錯誤とは|婚活の甘い見積もり|「今年こそ」の罠で書いたように、人は「今年こそは」と毎年同じ希望的観測を更新し続けてしまいます。連敗の記憶に引っ張られて一喜一憂するより、目の前の一回を、まっさらな気持ちで迎える方が、結果的に判断を誤りません。
連敗の記憶を手放す、小さな立て直し方
とはいえ「気にしない」と頭で思うだけでは、連敗の記憶はなかなか薄れません。おすすめしているのは、お見合いやデートのあとに「今回うまくいかなかった理由」を一つだけ具体的に書き出すことです。漠然と「またダメだった」とまとめてしまうと、失敗は塊になって重くのしかかります。けれど一つひとつを個別の出来事として分解すると、連敗という物語ではなく、独立した点の集まりに見えてきます。
焦りが大きいときほど、この分解作業は効果があります。婚活で焦ってしまうとき|焦りが空回りを生む前にでもお伝えしましたが、焦りは視野を狭め、目の前の相手ではなく「早く結果が欲しい自分」ばかりを見てしまう状態を作ります。連敗を一つの重たい塊として抱えていると、この焦りはさらに強くなります。
もう一つ有効なのは、期待を「出会えるかどうか」ではなく「準備が一つ進んだかどうか」に置き換えることです。プロフィール写真を一枚変えた、会話の最初の一言を変えてみた。そうした小さな積み重ねは、確率とは関係なく、確実にあなたの中に残っていきます。
まとめ:確率ではなく準備を積む人が、結局強い
「そろそろ出会えるはず」という感覚は、頑張ってきた人ほど強く抱きやすいものです。でもその感覚は、次の出会いの確率を一ミリも動かしてくれません。動かせるのは、あなたがその一回一回にどう向き合い、何を持ち帰るかだけです。
連敗は呪いではなく、ただの独立した点の集まりです。この一文を、焦りそうになったときにぜひ思い出してみてください。
もし一人で振り返りを続けるのがしんどくなったら、第三者の目を借りるのも一つの方法です。エースブライダルでは、お見合いやデートのたびに何が起きたかを一緒に振り返り、次に活かせる具体的な一歩を探す伴走を行っています。確率に期待するのではなく、準備を積み重ねていきたい方は、無料相談からお気軽にお話しください。
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