こんにちは。恋愛心理研究家の関口美奈子です。
最初に答えをお伝えしますね。第一印象を良くする方法は、清潔感・表情・姿勢と声の三つを、会う前に整えておくことです。人は初対面の相手を、話の中身より先に、見た目と表情からほんの短い時間で判断します。だからこそ、この三つは才能ではなく「準備」で変えられます。
「中身で勝負したいのに、なかなか分かってもらえない」。そう感じている方にこそ読んでほしい内容です。今日は、なぜ第一印象が一瞬で決まるのか、そして今日から使えるチェックリストと、最初の一言の例までお話しします。
第一印象は、出会って数秒でほぼ決まる
私たちは初対面の相手を、驚くほど短い時間で「なんとなく、こんな人」と判断しています。プリンストン大学のウィリスとトドロフが2006年に発表した研究では、顔写真をわずか0.1秒見せただけで、人は「信頼できそうか」「好感が持てるか」を判断し、その判断は時間をかけて見たときとほとんど変わらなかったと報告されています。
しかも、最初に受けた印象は、その後の情報の受け取り方まで左右します。心理学者アッシュの古典的な実験では、同じ性格の言葉の並びでも、先に良い言葉を聞かされた人のほうが、その人物を好意的に評価しました。いわゆる初頭効果です。
恋愛と結婚の現場で、のべ3万人以上の男女と向き合ってきて、私もこれを痛感してきました。どんなに素敵な内面を持っていても、最初の数秒で損をすると、それを取り返す前に次の機会がなくなってしまうことがある。第一印象は、あなたの中身を見てもらうための入場券なんですね。
第一印象を決める三つの要素
では、何を整えればいいのか。入場券を決めているのは、次の三つです。
①清潔感
相談所でお見合いのお相手から返ってくる感想を見ていると、「清潔感があって安心しました」は、どんな褒め言葉よりも多く出てくる言葉です。逆に、お断りの理由として「服のサイズが合っていなかった」「爪が気になった」と、本人が想像もしていない細部が挙がることも少なくありません。
いちばん大切なのがここです。髪、眉、爪、服のシワ、靴、におい。生まれ持った顔立ちとは関係なく、誰でも手入れで高められます。清潔感は「美しさ」ではなく「手入れされている感じ」のこと。相手はそこに、あなたの暮らしぶりや、自分への扱い方を読み取ります。
②表情
やわらかい表情は「あなたに敵意はありません」というメッセージになります。満面の笑みでなくて大丈夫。口角を少し上げて、目が合ったら一度うなずく。それだけで、相手の緊張がほどけます。
③姿勢と声
背すじを伸ばし、動作を少しゆっくりにする。声は、普段より半音ほど高く、語尾まではっきり。姿勢と声には、自信と落ち着きがそのまま出ます。姿勢と印象の関係や声と話し方のコラムで、詳しく書いています。
会う前にできる、第一印象チェックリスト12
お見合いや初デート、大切な商談の前に、鏡の前でこの12項目を確かめてみてください。全部できていなくても大丈夫です。できていないものを一つ直すだけで、印象は確実に変わります。
清潔感(6項目)
- 髪は前日までに切りそろえ、当日は寝ぐせや広がりを整えた
- 眉の形が整っていて、左右の高さや濃さに差がない
- 爪は短く、指先まで清潔にしてある
- シャツやブラウスにシワがなく、襟や袖口が黄ばんでいない
- 靴に汚れやかかとのすり減りがない
- 香りは「近づいたらほのかに分かる」程度に抑えた
表情(3項目)
- 鏡の前で、口角を上げた表情を一度つくってから出かけた
- 目が合ったときに、うなずくか、目元をゆるめる準備ができている
- スマホを見ながら待たず、顔を上げて相手を迎えられる
姿勢と声(3項目)
- 座ったとき、背もたれに寄りかからず、浅めに腰かけている
- 最初のあいさつを、相手の目を見て、語尾まではっきり言える
- 腕組みや脚組みをせず、手は膝かテーブルの上に置いている
この中で、男性の印象をいちばん大きく変えるのが「眉」です。眉は顔の額縁のようなもので、少し整えるだけで表情が明るく、清潔に見えます。自分では左右のバランスがつかみにくいので、一度プロに整えてもらうのがおすすめです。私が運営するメンズ眉サロンWinsomeでも、婚活前の方のご来店が増えています。眉と印象の関係はこちらのコラムにまとめています。
最初の十秒を整える、あいさつと一言の例
見た目が整ったら、次は出会いの最初の十秒です。ここでの一言が、見た目の印象を「感じのいい人」に固めてくれます。
お見合いや待ち合わせで
「はじめまして、〇〇です。今日はお時間をいただいて、ありがとうございます」。名前のあとに、感謝をひと言。これだけで、礼儀と余裕が伝わります。
相手が先に着いていたら
「お待たせしてしまいましたか。見つけやすかったです、ありがとうございます」。相手の気づかいに先に気づける人は、それだけで好印象です。
沈黙が生まれそうになったら
「このお店、雰囲気いいですね。よく来られるんですか?」。場所や天気など、二人の目の前にあるものを話題にすると、自然に会話が始まります。
オンラインで初めて話すとき
ビデオ通話のお見合いや面談では、画面に映る「顔まわり」が入場券のすべてになります。カメラは目の高さに置き、顔の正面から光が当たる窓辺かライトの前に座る。背景は、片づいた壁かカーテンで十分です。最初のあいさつは、画面の中の相手の顔ではなく、カメラのレンズを見て言うと、相手には目が合っているように映ります。
プロフィール写真も、会う前の第一印象です。男性向けにはお見合い写真のコツ、女性向けには女性のお見合い写真のコラムで、撮り方を詳しくまとめています。
逆に避けたいのは、「緊張してて、すみません」と最初に謝りすぎること。誠実さのつもりが、相手に気をつかわせてしまいます。緊張しているなら「楽しみにしていました」と言い換えてみてください。同じ気持ちが、前向きに届きます。
第一印象で失敗したと思ったときの立て直し方
遅刻してしまった、緊張で表情がこわばった。そんな日もありますよね。一度ついた印象は変えられないわけではありません。ただ、取り返すには時間がかかるので、次の三つを意識してください。
- その場で短く認める。「さっきは緊張していて、うまく話せませんでした」と一度だけ伝える
- 別れ際を丁寧にする。人は最後の印象もよく覚えています。お礼とまっすぐな笑顔で締める
- 当日中にお礼の連絡をする。「今日はありがとうございました。〇〇のお話、楽しかったです」と、会話の中身にひと言ふれる
相談所の会員さんで、お見合いに20分遅れてしまった男性がいました。彼は言い訳をせず、席に着くなり心から謝り、帰り際には「待っていてくださって、本当にうれしかったです」と伝えました。お相手の女性からの返事は「誠実な方だと思いました」。完璧な第一印象より、崩れたあとの振る舞いのほうが、人柄を伝えることもあるんです。
第一印象を整えることは、相手への敬意
「人を見た目で判断するなんて」と思う気持ちも、よく分かります。でも、見た目を整えるのは、媚びることでも、自分を偽ることでもありません。中身をちゃんと届けるための、誠実な準備です。
身だしなみを整え、顔を上げて、丁寧に人と向き合う。その姿勢そのものが「私はあなたとの出会いを大切にしています」というメッセージになります。先に好印象を差し出して、相手を安心させられる人。そんな「持てる人」の心づかいは、見た目を通しても、ちゃんと伝わるんですね。
話し方も含めて整えたい方は、メラビアンの法則のコラムもあわせて読んでみてください。
中身に自信があるなら、なおさら入場券を整えてあげてください。あなたの良さは、届く準備ができた人から、ちゃんと伝わっていきます。
出典:Janine Willis & Alexander Todorov (2006) "First impressions: Making up your mind after a 100-ms exposure to a face", Psychological Science 17(7)。Solomon E. Asch (1946) "Forming impressions of personality", Journal of Abnormal and Social Psychology 41(3)。文中の会員さんや相談者の例は、相談の現場でよく見られる傾向をもとに再構成したもので、特定の個人の話ではありません。
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