性の悩み

結婚前に確かめたい
性の価値観

関口美奈子

こんにちは。恋愛心理研究家の関口美奈子です。結婚相談所「エースブライダル」を運営しています。
お金のこと、仕事のこと、住まいのこと。結婚前の話し合いは、真剣な二人ほどきちんと進めます。それなのに、性の価値観だけは「結婚すれば自然にわかる」と後回しにされがちです。けれど実際は逆で、結婚してからのほうが、性の話はずっと切り出しにくくなります。話さないまま結婚すると、二人は沈黙を持参金にして新生活を始めることになるのです。
このページは、真剣交際から婚約までの時期に、性の価値観をどう確かめ合うかに絞ってお話しします。結婚前に話し合うテーマ全体は結婚前に話し合っておくべきことに、すでに続いている関係で性の話ができない方はパートナーと性について話せないときにまとめていますので、あわせてどうぞ。

確かめるのは「体の相性」より「言葉の相性」

「結婚前に性の相性を確かめたい」。この言葉を聞くと、多くの方は体のことを思い浮かべます。けれど、のべ3万人以上の男女と向き合ってきて感じるのは、結婚後に二人を苦しめるのは、最初の相性の良し悪しよりも、違いが見つかったときに、それを話せない関係のほうだということです。

体の感じ方は、年月や体調、暮らしの変化で、誰でも変わっていきます。だから本当に確かめておきたいのは、変わったときに「最近、こう感じているの」と言い合える二人かどうか。性の価値観を確かめるとは、答え合わせではなく、話し合いの予行演習なのです。体の相性の考え方そのものは、体の相性とはで詳しくお話ししています。

切り出す順番:軽い話から、未来の話から

性の話がうまくいかない一番の理由は、いきなり一番重いところから入ってしまうことです。おすすめの順番は、次の五段です。

  1. 1.子どもを望むかどうか(人生設計の話なので、いちばん話しやすい)
  2. 2.触れ合いの好み(手をつなぐ、ハグなど、性に限らない親密さ)
  3. 3.避妊と家族計画(いつ、どう考えるか)
  4. 4.頻度や、触れ合いの大切さの感じ方
  5. 5.過去のこと(話す範囲を決めるところから)

未来の話から始めて、過去の話は最後に。未来の話は二人で同じ方向を向けますが、過去の話は向かい合う形になり、緊張が生まれやすいからです。一度に五つすべてを話す必要はありません。一回に一段、数週間かけて進むくらいでちょうどいいのです。

最初のひと声は、いきなり本題に入らず、予告から始めます。

「結婚する前に、ちゃんと話しておきたいことがあるの。少し照れくさい話も入るから、今度ゆっくり時間をもらえる?」

予告は、相手に心の準備をする時間を渡すことです。夜遅く、お酒の席、移動中の車内は避けて、明るい時間の落ち着いた場所を選びましょう。

5つのテーマと、そのまま使える一言

1.子どもを望むかどうか

ここで確かめたいのは、子どもを望むかどうか、望むならいつ頃を思い描いているか、という人生設計の部分です。「何人ほしいか」を詰める必要はありません。「望まない」「どちらでもいい」「授かれば」という答えも、立派な一つの価値観です。

「子どものこと、あなたはどんなふうに考えてる?私は今、こう思っているんだけど、変わることもあると思ってる」

自分の考えを先に差し出し、「変わることもある」と添える。これで相手は、正解を探さずに本音を話せます。体のことで気がかりがある場合は、二人で信頼できる医療機関の情報にあたることを話題にしてもよいでしょう。

2.触れ合いの好み

性の話の手前にある、手をつなぐ、ハグをする、そばに座る、といった触れ合いの好みです。愛情を触れ合いで感じる人もいれば、言葉や一緒の時間で感じる人もいます。触れ合いは、性の話への一番やさしい入り口です。

「私、手をつないでいると安心するタイプなんだよね。あなたは、どういうときに大事にされてるって感じる?」

苦手なことを伝えるときも同じです。「嫌」ではなく「こうだとうれしい」と、望む形で伝えましょう。触れ合いが照れくさい方はスキンシップが苦手なときを、お互いの気持ちを確かめ合う基本は性的同意とはをどうぞ。

3.避妊と家族計画

子どもの希望を話したあとなら、避妊の話は「二人の計画の話」として自然につながります。責任をどちらか一方に預けない、という姿勢を確かめる時間です。

「さっきの子どもの話の続きなんだけど、しばらくは二人の時間を大事にしたいと思ってる。そのための準備も、二人で考えていきたいな」

避妊の話を切り出す勇気が出ないときの考え方は、避妊や将来を話し合えないときにまとめています。

4.頻度や、触れ合いの大切さの感じ方

ここで聞き方を間違えないでください。回数の数字を比べるのではなく、その人にとって、触れ合いが暮らしの中でどのくらい大切かを聞くのです。数字は体調や忙しさで簡単に変わりますが、大切さの感じ方は、その人の価値観に近いところにあります。

「忙しい時期でも、二人の触れ合いの時間は大事にしたいと思う派?それとも、気持ちがつながっていれば形は気にしない派?」

どちらか一方を選ばせる聞き方は、答えやすさを生みます。温度差が見えたときの向き合い方は、性欲の差に悩んだときで詳しくお話ししています。

5.過去のこと

過去は、最後に、そしていちばん慎重に。まず知っておいてほしいのは、過去をすべて話す義務も、すべて聞き出す権利もないということです。話す自由と、話さない自由の両方があります。

そのうえで、健康に関わること、これからの二人の生活に影響することは、誠実に共有しておくと信頼の土台になります。話すなら、細部ではなく「今の自分がどう考えているか」を中心に。

「昔のことを細かく聞きたいわけじゃないの。ただ、これからの二人に関わることがあったら、知っておきたいと思ってる」

相手の過去が気になって仕方ないときはパートナーの過去の恋愛・経験が気になるときを、健康の確かめ方は大人の性の健康を考えるを参考にしてください。

答えが違ったとき:違いを3つの箱に分ける

話してみて、考えが違うことがわかる。これは失敗ではなく、話し合いがうまくいった証拠です。違いが見えたら、慌てて結論を出さずに、次の三つの箱に分けてみてください。

1.歩み寄れる違い
触れ合いの頻度の感覚、愛情表現の形など。お互いが少しずつ動けば、重なる場所が見つかるものです。
2.工夫で埋まる違い
「疲れているときは断っていい」「断るときは代わりにハグだけする」など、二人のルールをつくれば摩擦が減るものです。
3.譲れない違い
子どもを望むかどうかのように、どちらかが我慢し続けるしかないもの。これは、結婚前に見つかってよかった違いです。

三つめの箱に入るものがあっても、すぐに別れを考える必要はありません。数週間おいて、もう一度話す。自分の気持ちが本当に動かないのかを確かめる。一回の話し合いで決めないこと自体が、誠実さです。

「今日は、違うってわかっただけで十分。どうするかは、少し考えてから、また話そう」

この一言で話し合いを閉じられる二人は、結婚後も、ぶつかったときに関係を壊さずに一時停止ができる二人です。

「話せるかどうか」が、いちばん確かな相性の手がかり

性の価値観の話し合いで、答えの中身と同じくらい見てほしいのが、話しているときの相手の態度です。

茶化してはぐらかす。黙り込んで話題を変える。「そんなことを聞くなんて」と責める。こうした反応が続くなら、答えがどれほど理想的でも、結婚後に困りごとが起きたとき、同じように向き合ってもらえない可能性があります。反対に、照れながらも聞き返してくれる、「考えたことなかった、少し時間をちょうだい」と言える人は、答えがすぐに出なくても、二人で答えをつくっていける人です。

そして、これは自分にも向けられる問いです。相手の答えを聞くとき、否定せずに最後まで聞けているか。持てる人は、相手に話させる前に、自分から少しだけ本音を差し出します。話しやすい空気は、先に心を開いた人がつくるものだからです。

結婚相談所で真剣交際中の方へ:確かめるのは「言葉」で

結婚相談所で活動している方には、大切なお知らせがあります。IBJの「お見合いと交際のルール&マナー」では、交際期間中の旅行や婚前交渉、金銭の授受・貸借は禁止とされています。さらに、結婚婚約またはそれらと同等の成果として、「結婚の口約束」「宿泊」「宿泊をともなう旅行」「婚前交渉」「同棲」「交際期間を延長し、通算6ヵ月を経過した場合(交際期間は原則3ヵ月)」などは「成婚」とみなす、と定められています(出典:IBJ「お見合いと交際のルール&マナー」)。

つまり相談所での交際では、性の相性を「行動で確かめる」という選択肢は、ルールの外にあります。これを不安に感じる方もいるでしょう。けれど見方を変えれば、言葉で確かめることに集中できるということでもあります。この記事の五段の話し合いは、まさに真剣交際の時期のためのものです。

もしお相手から、ルールの外に踏み出すことを持ちかけられたら、責めずに、こう伝えてみてください。

「あなたのことを真剣に考えているからこそ、ルールの中で、ちゃんと言葉で話していきたいの」

その返し方で、相手があなたの意思をどう受け止める人かも見えてきます。性の話を相手とどう進めればいいか迷ったら、ひとりで抱えず、担当のカウンセラーに相談してください。真剣交際から結婚への進め方は、真剣交際から結婚へ進めるにはにまとめています。

まとめ:性の話ができる二人は、どんな話もできる

結婚前に確かめたい性の価値観は、子どもの希望、触れ合いの好み、避妊と家族計画、触れ合いの大切さ、そして過去。軽い話から、未来の話から、一回に一段ずつ。答えが違ったら三つの箱に分けて、一度で結論を出さない。

性の価値観の話し合いは、結婚前にできる、いちばん難しくて、いちばん実りのある会話です。いちばん話しにくい話ができた二人は、これから先のどんな話も、きっとできます。
エースブライダルでは、真剣交際から婚約までの、言葉にしにくい迷いにも寄り添っています。最初の面談は基本オンラインで、全国どこからでもご相談いただけます。どうぞ気軽にお声がけください。

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よくある質問

結婚前に、性の価値観は話しておくべきですか?
はい。子どもを望むかどうか、避妊や家族計画、触れ合いの大切さの感じ方は、結婚してからでは話しにくくなるテーマです。すべてを一致させる必要はありません。お互いの考えを知り、違いがあるならどう扱うかを二人で決めておくことが、結婚後のすれ違いを減らします。
性の話は、何から切り出せばいいですか?
話しやすい未来の話から始めるのがおすすめです。子どもの希望、触れ合いの好み、避妊と家族計画、触れ合いの頻度や大切さ、過去の順に、軽いものから重いものへ進みます。「将来のことで、ちゃんと話しておきたいことがあるの」と、場所と時間を選んで予告してから話すと、相手も身構えずにすみます。
過去の恋愛や経験は、結婚前にすべて話すべきですか?
すべてを話す義務はありません。話す自由と、話さない自由の両方があります。ただし、健康に関わることや、これからの二人の生活に影響することは、誠実に共有しておくことが信頼につながります。相手に尋ねるときも、細部を聞き出すのではなく、二人の今と未来に関わる範囲にとどめましょう。
性の価値観が合わないと分かったら、結婚はやめたほうがいいですか?
違いがあること自体は、結婚をやめる理由にはなりません。歩み寄れる違いか、工夫で埋まる違いか、どちらかが我慢し続けるしかない譲れない違いかを、時間をかけて見分けることが大切です。一度の話し合いで結論を出さず、迷うときは第三者に相談しましょう。
結婚相談所で真剣交際中ですが、性の相性はどう確かめればいいですか?
言葉で確かめます。IBJの「お見合いと交際のルール&マナー」では、交際期間中の旅行や婚前交渉は禁止とされ、「宿泊」「婚前交渉」「同棲」などは「成婚」とみなすと定められています。行動で確かめられないからこそ、価値観を言葉で確かめ合えるかどうかが、何より確かな相性の手がかりになります。迷ったときは担当のカウンセラーに相談してください。

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